賢く使おう!子育て支援パスポート

子ども連れにお得なサービスを提供する内閣府の政策「子育て支援パスポート事業」は、「少子化社会対策大綱」(2015年3月20日閣議決定)において、2020年までに協賛店舗数を44万店舗 に増やすことを目標にしています。

今回は、2018年3月に内閣府が公表した「平成29年度『子育て支援パスポート等事業』の協賛店舗等の実態把握及び各自治体アンケート結果」(以下、「自治体アンケート」という)をもとに、具体的にはどのようなサービスがあるのか、その活用方法などをお伝えします。

子育て支援パスポートとは

「子育て支援 パスポート事業」は、社会全体で子育て家庭を支え、子育て世帯の経済的負担を軽減するという目的で始まりました。この事業は、地方自治体が働きかけて協賛を得た企業・店舗において、子育て世帯を支援する各種サービスを提供するものです。
子育て世帯は、支給されたパスポート等を提示することでサービスを受けることができます。サービスの内容や対象者は各自治体や企業・店舗によってさまざまです。(下図参照)

埼玉県の「パパ・ママ応援ショップ」事業

自治体アンケートの結果、最も多い23,304店舗の協賛を得ている埼玉県の事業を一例として紹介します。
埼玉県の「パパ・ママ応援ショップ優待カード」は、妊娠中の人がいる家庭と18歳に達して次の3月31日を迎えるまでの子どもがいる家庭に配布しています。協賛店で優待カードを提示すると、料金割引などのサービスが受けられます。あらかじめスマートフォンアプリをダウンロードして登録しておくと、優待カードを提示する代わりにスマートフォンを提示することで利用できます。

具体的なサービス内容には、宿泊施設の宿泊代、キャンプ場の使用料、飲食店やカフェでの料金割引やドリンク1杯サービス、自転車修理代の割引、美理容店の料金の割引など直接家計が助かるサービスが豊富にあります。興味深いものには、レンタカーを利用する際にチャイルドシート(ベビー・ジュニア含む) 貸出し無料サービスや金融機関の住宅ローンの金利優遇、定期預金の金利上乗せサービスなどがあり、知っているのと知らないのでは大きな違いがありそうですね。

サービスの内容は、埼玉県のホームページから「パパ・ママ応援ショップ」で検索できます。その他の都道府県にお住まいの方も居住地のホームページで「子育て支援パスポート事業」を検索するとサービス内容を確認できます。

2017年4月から全国共通展開

自治体アンケートが実施された2018年1月現在、「子育て支援パスポート事業」全国47都道府県すべてで実施されています。
2017年4月からは、全都道府県で全国共通展開が実施され、相互利用が可能になりました。居住している地域だけではなく、帰省先、旅行先などの都道府県でもパスポートを提示すれば、その地域の店舗の優待サービスを受けることが可能になりました。ただし、各自治体で子どもの対象年齢や対象になる子どもの数などの範囲等が異なる場合があります。居住地ではサービスの対象になっていても帰省先の自治体では対象外ということもありますので注意してください。また、すべての店舗が全国で共通利用が可能な店舗ではありません。
このマークがある店舗が目印です。

自治体アンケート結果では、全国で共通利用が可能な協賛店舗などが最も多いのは大阪府(11,351店舗)、2番目が広島県(6,406店舗)、3番目が静岡県(6,238店舗)です。
今後は旅行先の宿泊先を探す時やレンタカーを予約する時、食事や買い物する時にも事前に検索すれば意外なお得なサービスを発見できるかもしれません。

検索方法は、内閣府の子育て支援パスポート事業 全国共通展開参加自治体リンク集で、全国の都道府県の該当する検索画面にアクセスすることができます。
子育て支援パスポート事業 全国共通展開参加自治体リンク集
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/passport.html 

協賛店舗を検索する方法の使い勝手は

せっかく全国すべての都道府県で導入されているサービスですから、積極的に情報を得て、上手に利用したいものです。自治体アンケートでは、インターネットサイトで協賛店舗等を検索する機能についての回答もあります。
検索機能付きインターネットサイトの有無については、約6割の自治体が「あり」と回答しています。

一方、スマートフォンアプリでパスポート等の取得ができるかの問いには、約1割しか導入しておらず、約8割が今後も導入する予定がないと回答しています。
「子育て支援 パスポート事業」の目的の一つである、社会全体で子どもの育ち・子育てを支えるという考え方には、保護者の収入や生育環境による格差の連鎖を断ち切ろうという意味が含まれています。各自治体には情報弱者が生まれないよう、すべての人に認知され、皆が賢く利用できるよう、一層の取組を期待したいと思います。

出典 内閣府「平成29年度『子育て支援パスポート等事業』の協賛店舗等の実態把握及び各自治体アンケート結果」
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h29/passport_survey/index.html

プロフィール


宮里惠子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。生命保険をはじめ、教育費関連や住宅ローンについて雑誌・新聞・Webで執筆。地域に根をはるFPを目指して、横浜市北部エリアで活動している。若い世代に対する消費者教育の必要性を強く感じている。

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