海外への渡航者と日本への来訪者はどちらが多い?
JNTO(日本政府観光局)では、訪日外客数や観光庁の消費動向調査、宿泊旅行統計、UNWTO(国連世界観光機関)のデータをWebサイトで公開しています。
(https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/)
公開しているデータは大きく4つ。日本を訪れる外国人旅行者の数はどのくらいなのか?(訪日外客数)、外国人旅行者が訪れるのは日本のどの地域なのか?(都道府県訪問率・都道府県延べ宿泊者数)、外国人旅行者は日本で何を買っているのか?(旅行消費額)、海外を訪れる日本人旅行者の数はどのくらいなのか?(日本における海外旅行)です。
公開されたデータをもとに、今起こっていることについて、興味深い例をご紹介します。
Web上で訪日者数の様々なデータがわかりやすい切り口で見られる
JNTO(日本政府観光局)は、世界20都市に海外事務所を構え、外国人の訪日旅行の促進に向けて、プロモーションやマーケティングを行っている団体です。
事業の内容は、訪日旅行市場に関する市場分析やマーケティング、海外現地旅行会社の訪日ツアー企画・販売促進や一般消費者向けのプロモーション、国内の自治体などと連携して日本のインバウンド旅行市場の拡大を目指しています。
日本の観光統計データのWeb公開もその一部で、今まで冊子で公開していた訪日者数の様々なデータを、わかりやすい切り口で電子化することで、一般のかたもデータを利用しやすくなりました。
2012年からうなぎのぼりの訪日者数、その要因とは?
上のグラフは、日本を訪れる外国人の数の推移を示したグラフです。2012年以降は常に右肩上がりで上昇を続けており、2017年は、2869万人となり過去最高を更新しました。
要因としては、2003年に「ビジット・ジャパン・キャンペーン」という海外向けにプロモーションを行ってきた結果が出てきたこと、2012~2013年にかけて東南アジアを中心としたビザ緩和、LCC(ローコスト・キャリア)の普及で来やすくなったことなどが挙げられます。
日本では、2020年に4000万人を目指して、プロモーションを続けていく予定です。
一方で、日本における海外旅行のデータを見てみると、海外に行く日本人の数は、近年減少していることがわかります。訪日外客数と出国日本人数を比較すると、2014年を境に訪日外客数が出国日本人数を逆転しました。
国によって違う旅行消費額 中国は買い物で豪は宿泊費が大きい
次に、訪日外国人消費動向調査をもとにした、旅行消費額についてのグラフを見てみると、国によってそのうちわけの金額が大きく異なることがわかります。
例えば、中国のかたの場合は、買物代が119,319円と全体の半分以上を占めている一方で、オーストラリアのかたの場合は、89,060円という宿泊料金がもっとも大きな割合を占めています。おもに、欧米豪からの来日者の場合、宿泊日数が多いため、そのぶん宿泊費がかかるからでもありますが、国によって日本にどんな魅力を求めて来日しているかという違いが分かるのも面白いところです。
また、同じ中国でも、2017年と2015年のグラフを比べて見ると、2015年は買物代が161,973円にも昇っています。2015年はいわゆる「爆買い」が起こった年でもありますが、昨年はこの「爆買い」も落ち着きを見せたことが実際の数字からも読み取ることができます。
このように、実際にデータを手にとってみると、日本を取り巻く状況も年々変化していることがわかると思います。このデータは、一般のかたもサイトからダウンロードをして利用することができるため、ぜひ自由研究や調べ学習、レポートにも活用できるといいですね。
取材協力:JNTO(日本政府観光局)