食の問題から考える身近な開発途上国への協力 親子でできることとは?
グローバル化が進む社会で、私たちは世界との相互依存関係を深めています。今後一層グローバル化が進む中で豊かに生きていくために、子どもたちはどんなことを知り、学び、身に付けていけばよいのでしょうか。
今回は、身近な「食」を通してできる開発途上国への協力とは何か、考えていきましょう。
日本の食品ロスは632万トン
日本における食品ロス(食べられるにもかかわらず捨てられている食料)は年間632万トンにも及ぶとされており、これは国連世界食糧計画による世界全体の食料援助量の約2倍に相当します。このうち、家庭から発生する食品ロスはこのうち半分のおよそ320万トン。家庭の台所から出たごみのうち、およそ半数は食べられるのに捨てられているのが現状です。
一方、日本の食料自給率は約40%にとどまり、多くの食料を輸入で補っています。たとえば、日本人になじみ深い「お好み焼き」も材料の多くは外国生まれ。豚肉は約53%、えびは約97%、かつおぶしは約29%が外国からの輸入品です。特にえびの輸入はベトナムやインド、インドネシアなどアジアの開発途上国に多くを頼っています。
もし、日本で作られた食料しか食べられなくなったら、朝食は「ごはん一膳・焼きいも2本・ぬか漬け1皿」、昼食は「ふかしいも1個・焼きいも2本・りんご1/4個」、夕食は「ごはん一膳・粉吹いも1皿・焼き魚1切れ」といったように、おなじみでおいしい食べ物は食卓から姿を消すことになってしまいます。
途上国でも起こっている「肥満」の問題
途上国の食の問題でまず挙げられるのが飢餓や貧困です。世界には栄養不足の人が約8億1,500万人もいると言われ、日々の食事も満足に取れず、飢えに苦しんでいます。
その一方、栄養バランスの偏りによる肥満の問題を抱えた開発途上国も増えてきています。その原因は、グローバル化による食生活の変化や、安価になった穀物や砂糖が先進国から流入し、栄養バランスの偏った食事を取るようになったため、さらには栄養に対する知識不足や誤解など。裕福な人はバランスがよく健康な食生活を選ぶことができる一方、貧しい人は安いものばかりを食べなければいけない環境に置かれているのです。
また、太っていることは豊かさの象徴でよいことであるという考え方をする国もあります。そして、減量を考えたとしても具体的な方法がわからない・手段がないという問題点もあります。言うまでもなく、肥満は生活習慣病になりやすく、栄養バランスの崩れた食生活は、いろいろな病気を引き起こす原因になります。
関連HP
栄養改善 https://www.jica.go.jp/activities/issues/nutrition/index.html
食料自給率を上げることとその担い手への関心を高めることが課題
では、食料題を解決するために、私たちができるのはどんなことでしょうか。
まずは第一に、ムダを出さずに食べ物を残さず食べるということが挙げられます。また、地元で採れる食材を選んで食べることで、食料自給率を上げることも重要な課題です。そして、食料自給率を上げるためには、なによりそれを作る農業の担い手や食に対して興味関心を持つ人材を育むことが望まれています。
実際には、安価な外国産の食物と少し高い国産の食物が並んで売られているとき、高いほうを選ぶのは難しいことでしょう。しかし、ご家庭でも少しだけ視野を広げて、「なぜ食べ物を大切に食べなくてはいけないのか?」という問いかけから、お子さまと一緒に世界の食のことについて、考えられるとよいですね。
関連HP 世界の食料(食料問題)
https://www.jica.go.jp/hiroba/program/practice/education/ku57pq000006cqk3-att/pamphlet_kabe04a.pdf
動画 飢餓をゼロに
https://www.youtube.com/watch?v=ogKaa2TbpBY&feature=youtu.be
取材協力:JICA(国際協力機構)