「読み方」が多様に?オヤコ読書のススメ

待ちに待った夏休み。普段なかなか会えない人を訪ねたり、自然豊かな場所を求めて旅行したり、楽しみ方は家族によってさまざまですが、エアコンの効いた部屋で、それぞれ気になった本を手に取り、本が誘う世界に没入する。そんな過ごし方もまた、夏休みならではの楽しみです。

励ましで伸ばす「非認知スキル」

文部科学省「子どもの読書活動推進に関する有識者会義」が2018年3月に提出した「論点まとめ」では、読書は、必要な情報を取捨選択しながら、自らの考えを深め、表現する「新しい時代に必要となる資質・能力」を育むものとして位置づけられています。
こうした読書活動推進の動きは、「主体的・対話的で深い学び」(生徒自身が主体的・能動的に参加する学びの在り方)の実現を通じて、知識や技能を習得するだけではなく——知識や技能を自分らしく活用しながら、社会で役立てていく資質・能力の育成を目指す、2020年の教育改革の方向性と合致するものです。

こうした時代のニーズを背景に、読書の教育効果を科学的に実証しようとする研究も増えています。例えば、最近では、猪原(2016)が、読書と言語能力の関係に着目し、読書量が語彙力や文章理解力の向上に与える効果の存在や、複数のメディア(新聞や小説等)を読む人ほど、言葉や表現が多様であること(読書のジャンルが語彙形成に与える影響)などを明らかにしています。また、ベネッセが家庭学習教材の一部として提供する電子書籍サービスの利用ログ分析の結果*においても、本の冊数(借りた本の総数)が、教科学力(4教科合計)の向上に与える効果などが確認されています。

今後、本の種類や子どもの学習行動との関係など追加分析を行っていく予定ですが、上記で紹介したように、読書がもつ教育効果はすでに複数の観点から明らかにされています。そして、これらの読書の教育効果は、技術革新の中で、今後さらに広がりをみせる可能性があります。

例えば、近年、画像の解像度が飛躍的に向上したことで、動画だけでなく書籍もタブレット端末で読む人が急速に増えています。こうした変化は、人々の「読み方」にも影響します。実際に、読書をしながら気づいたことを書き込んだり、気になった情報を切り取ったり、読んだ内容を誰かとシェアするなどの行為が広がっています。また、これは動画の話ですが、定額を払えば、ほぼ無制限に視聴できるサービス環境が整ってきており、同じような状況が、今後、電子書籍の領域でも生じる可能性があります。

そうした時、読書は、1冊の本を読んでそのあらすじや自身の考えをまとめるといった「読み方」だけでなはい、もっと多様な「読み方」(本を通じて得た情報を集約・構造化しながら、新しい知識や見解を示していく)が可能なものとして広がっていくでしょう。
普段より少しゆとりをもって子どもと過ごせる夏休み。親子で同じ本を読んで、印象に残ったところを伝え合ったり、同じテーマの本を複数読んで内容を比べたり、少し違った「読み方」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

プロフィール


佐藤昭宏

ベネッセ教育総合研究所・研究員。初等中等領域を中心に、子ども・保護者・教員の意識・行動の調査分析や、情報誌編集、教材開発等を担当。主な研究テーマは「『学び方』支援の在り方」、「消費社会下における子どもの自立・社会化」について。

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