ゆるキャリママを目指すなら「教育資金準備」は計画的に

平成27年の共働き世帯の割合は、女性25~29歳で60.2%、30~34歳で60.4%です。
平成2年の25~29歳40.6%、30~34歳45.3%に比べて、25年間で20~15ポイントの増加ですから、ひと世代でずいぶん増えたと言えるでしょう。

共働きは増えているが、収入増は平均10万円

共働きは、働く人数が片働きの2倍になったのですから、収入も2倍に増えそうなものですが、実際は、片働き世帯の1カ月平均収入49万6514円に対して、共働き世帯は60万745円と、約10万円増にとどまっています。

理由として考えられるのは、妻が正社員ではなかったり、短時間労働で夫よりも収入が少ないことでしょう。

次の表は、「働く女性のくらしとお金に関する調査2018(日本FP協会)」から、働き方に対する意識の結果です。これによると、「バリバリ働きたい」34.3%に対し、「ゆるく働きたい(家計の足しになる程度)」が65.8%となっていることからも、扶養の範囲内で働いている可能性が高いことがうかがえます。

ただし、「ゆるキャリ志向」だとしても、実際にゆるキャリかどうかはわかりません。

2018年度に行いたいことの回答結果では、子どもの成長につれて「家計の見直し」「新しい収入源を作る・増やす」が上位にあがり、「子どもの進学などを見据えて、家計や収入について具体的な対策を迫られていることがうかがえる」という分析がなされています。

子どもの年齢が上がるにつれて教育費を中心とした子どもに関する費用が多くなります。そのため、支出をまかなうために再就職をしたり、働く時間を増やすなどで収入を増やさなくてはならず、結果的にバリバリ働いている人もいるはずです。

イメージ金額をゆるキャリで実現するには早めにスタート

「働く女性のくらしとお金に関する調査2018(日本FP協会)」では、子どもの教育資金として計画的に準備しておくべきだと思う金額のイメージは平均538万円となっています。子どもがいる人に限定すると平均564万円と金額が1割近く増えています。
子育てをしていく中で、当初の想定よりも教育費がかかる実感を感じ、準備しておくべき金額のイメージが増えるのでしょう。

質問文では、教育資金の定義はされていないため、回答者が「大学の費用」「子ども1人当たり幼稚園から大学まで」などの、いずれの範囲を想定したのかは不明ですが、「計画的に」の文言があることから、ある程度高額で、時間的に余裕があるものを想定するであろうとすると、「大学の費用」として回答している可能性が高いと思われます。

イメージ額が「大学の費用」だとすると、「学生生活調査H28年度(日本学生支援機構)」の結果から算出される私立大学理系学部の平均額4年間分に約18万円足りないだけですし、国公立の費用には十分足りていますから、大学の費用準備額としては納得できる金額です。

せっかくイメージができているのですから、これをしっかり準備しない手はありません。

ただし、家庭を優先する「ゆるキャリ」を希望するのであれば、子どもが小さいうちから計画的に準備しないと、教育資金が不足する可能性が高まります。

キリのいいところで、大学の費用を500万円と見積もってみましょう。

この額を、子どもの高校時代の3年間で貯めようとすると、毎月13万9000円を積み立てなければなりません。ゆるキャリどころか、バリバリ働かなくてはならなくなります。

500万円÷3年÷12か月=13万8889円≒13万9000円

子どもが生まれた月から18歳までに500万円なら、毎月の積立額は2万3150円です。

500万円÷18年÷12か月=2万3149円≒2万3150円

ゆるキャリでも、十分に貯められる金額ではないでしょうか。

高校までの教育費は、あらかじめ貯めておくというよりも、毎月の収入の中から払うものです。小学校~高校を私立校に通わせようと考えているけれど、教育費が収入に対して高額な家庭では、子どもが小さいうちに十分貯めておくことで乗り切れることもあります。

お子さまが小さいうちに、かけてやりたい教育費の額を見積もって、上記のように計算をしてみてください。積立期間が長いほど、毎月の積立額は少なくてすみます。

ゆるキャリでも教育費をしっかり用意するには、時間を味方につけて、早めに積み立てをスタートさせるのがコツです。

(筆者:菅原直子)

出典:
日本FP協会調べ「働く女性のくらしとお金に関する調査2018」
http://www.jafp.or.jp/about_jafp/katsudou/news/news_2017/files/newsrelease20180315.pdf

厚生労働省「平成27年版働く女性の実情」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/15.html

文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1399308.htm

日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査」
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2016.html

プロフィール



「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

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