幼稚園でどんな力を育てる? 4月から新教育要領

文部科学省は、幼稚園教育要領の解説書を公表しました。
2018年度から全面実施される新しい幼稚園教育要領の考え方などを解説したものですが、幼稚園と小学校とのつながりを重視して、幼稚園修了時までに子どもたちにどんな力を身に付けさせるべきかという「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を説明しています。保護者が知っておくべきポイントは何でしょうか。

「資質・能力」は幼稚園も同じ

「小1プロブレム」と言われるように、遊びを通して学ぶ幼稚園から、教科の授業が中心となる小学校に上がる段階で、戸惑う子どもたちは少なくありません。最近では「スタートカリキュラム」と呼ばれる子どもの発達の変化に合わせたカリキュラムを作成する小学校も増えています。小中学校などの次期学習指導要領は、知識偏重から思考力などの育成を重視する方向に転換しようとしていますが、幼稚園はどうなのでしょうか。

(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等……という三つの柱で資質・能力を身に付けさせるという基本的な考え方は幼稚園でも同じですが、(1)と(2)には「~の基礎」を付けています。これについて解説書は、知識・技能の基礎を「豊かな体験を通じて、幼児が自ら感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりすること」と説明。思考力・判断力・表現力等の基礎は、「気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりすること」としています。こちらのほうが、保護者もイメージしやすいのではないのでしょうか。

教え込みとは無縁

そして、これらの資質・能力を身に付けた「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を例示して、教員が一人ひとりの子どもたちに必要な支援をしていくよう求めています。
具体的には、「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」の10項目です。

たとえば「思考力の芽生え」は、遊びや体験の中から「それぞれの幼児の考えを受け止め、そのことを言葉にして幼児たちに伝えながら、更なる考えを引き出していくこと」や「他の幼児との意見や考えの違いに気付き、物事をいろいろな面から考えられるようにすること」などとしています。
また、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」では、遊びの中で人数を数えたりするなど具体的な指導方法を示すと同時に、「正確な知識を獲得することを目的にするのではないことに十分留意する必要がある」と注文を付けています。

小学校に上がるまでに、きちんと学習態度や生活習慣、学力を身に付けさせておきたいと思う保護者は多いことでしょう。しかし、小学校との接続を重視する幼稚園教育要領解説が求める「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、文字や数字を覚えておくことではなく、さまざまなことに興味・関心を持ち、自分と異なる人間と付き合う基礎を身に付けることのようです。

(筆者:斎藤剛史)

※幼稚園教育要領解説
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youchien/__icsFiles/afieldfile/2018/02/22/1401566_01_1.pdf

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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