子どもの習い事や塾に使う費用は?

お子さまの習い事や塾など、毎月どれくらいの費用がかかっていますか? 周りを見回すとどの子も習い事で毎日忙しそう……なんてことがあるかもしれませんね。
しかし、実は習い事や塾、通信教育といった学校外教育活動に使った費用は以前よりも「減っている」ということがベネッセ教育総合研究所の調査でわかりました。
みんなのお財布事情はなにかと気になるもの。早速、のぞいてみましょう!

スポーツや芸術活動より大事にしている習い事とは?

スイミングや少年サッカー、バレエなどスポーツ系の習い事をしている子は多いですよね。子どもの心身ともに健全な成長のため、また、チームワークや協調性を育てるためなど、体を動かす習い事のメリットは多そうです。
では、まず保護者の方の意識に注目してみます。

【図1】からわかるように、経年で比較すると、「運動やスポーツをするよりももっと勉強をしてほしい」と回答する保護者は幼児〜高校生まで軒並み増えていました。
さらに、同様にピアノや水彩画など「音楽や芸術の活動をするよりももっと勉強をしてほしい」と回答する保護者も2009年に比べ、全ての学校段階において増加していることがわかりました。
スポーツや芸術活動などの教養的な教育よりも、学力重視の傾向があるとみてもよいでしょう。
またこの調査からは実際に、2009年に比べて、スポーツや芸術の習い事をしている割合が微減していることもわかりました。

気になる! 習い事にかける費用の変化は?

みなさまのご家庭では、習い事や塾など子どもの学校外の教育活動にどれくらいの費用をかけていますか? 実は今回の調査で、家庭でかけている学校外教育活動費が変化していることがわかりました。

【図2】からわかるように幼児から高校生まですべての段階でかける費用が減少しており、全体平均では2,200円も減りました。また、学校段階が上がっていくにつれて減少額が大きくなっていくことがわかります。
世帯年収全体の減少がその理由の一つだと考えられます。以前は会社員であれば、年齢に応じて収入が上がっていきましたが、現在はそうとも限りません。そのため、財布の紐が固くなり、習い事や塾にかける費用が総じて減少することにつながっているのかもしれません。
また、一時期は不況であっても「教育費は削らない」という考えもありましたが、今では出費を減らし、うまくやりくりをしようとする方が増えてきたとも考えられるでしょう。例えば、教育活動と一体化した学童保育を利用したり、無料の教材・アプリなどを使ったりする教育活動を上手に活用している家庭も増加している可能性が考えられます。

もっともお金をかけている学校外教育は?

【図2】では、学校外教育にかけている費用が全体的に減っていることが明らかになりました。では、その内訳はどうなっているのか見てみましょう。

学校外の教育費は、中学3年生に最も多くかけられていることがわかります。内訳を見ると、特に塾などの「教室学習活動」に集中しています。高校受験のために、中学2年生から3年生にかけて塾に通う子どもが増えていくことに伴い出費も増加しているといえるでしょう。
一方で、スポーツ活動にかけている費用は小学3、4年生がピーク。これは、中学生以上になるとスポーツ活動は、比較的安価な部活動が中心となるためだと考えられます。
一方で、教室学習活動、いわゆる学習塾にかける費用は中学2、3年生に集中しています。
子どもが中学生の時に学校外教育活動への出費が大きくなることを踏まえて、計画的な貯蓄を進めていきたいものですね。

スポーツや芸術活動で養える力が重要に?

【図1】では、保護者はスポーツや芸術活動よりも勉強に力を入れてほしいこと、また【図2】ではすべての学年では、2009年に比べ、学校外教育活動にかけている費用が減少していることがわかりました。実は細かくみると、とくに芸術活動に支出する費用が減っていることが明らかになりました。
中学生の学習塾にかけている費用がそれほど減少していないことから、以前よりもさらに中学生の学習塾への家庭の支出が集中しているということがわかりました。
一方で、小学校から高校までアクティブ・ラーニング型授業が導入されており、考える力や他者と協働する力が求められています。加えて、2020年には大学入試がガラリと変わります。そこで、これまでの知識中心の学力ではなく、感性や人と関わる力、多様な経験などが問われるといわれています。
そのため、実はスポーツを通して友だちと協力し合う経験や、あきらめずやりぬく力(最近では、よく“グリット”という言葉を使っています)、失敗から立ち直れる折れない心(レジリエンス)を育てることができます。また、芸術活動を通して、豊かな感性が育まれます。
つまり、今後社会に求められる力を育てるには、スポーツや芸術活動はより重要になってくると思います。もちろん勉強も重要ですが、スポーツや芸術活動にもぜひ関心を持ち、お子さまの可能性や多様な力を伸ばしてみましょう。
教育費はご家庭の教育方針が映し出される鏡。何にどれくらいお金をかけていくか、お子さまの適性と保護者の想いに合わせて、改めて考えていくことが求められているといえそうです。

<調査データ>
・ベネッセ教育総合研究所「学校外教育活動に関する調査2017」
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5210

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