夫婦で連携しながら、お子さまに考えを「共有する」ことで、中学生の勉強を嫌いから好きに。
以前の記事「勉強が「嫌いから好き」に変わるための、中学生のお子さまとの関わり方のヒント」で、中学生の保護者のお子さまへの関わり方のヒントとして、勉強が「嫌いから好き」になるには、「勉強や成績のこと」「将来や進路のこと」「社会のニュース」についての会話がカギになるということをご紹介しました。
しかし、「勉強や成績のこと」「将来や進路のこと」などは、話すタイミングが難しかったり、話し方が難しい面もあると思います。
そこで、今回は、ペアレンティングアドバイザーとして、最前線で活躍されている林田香織先生(通称りんだ先生)に、勉強が「嫌いから好き」へ変わる 中学生の保護者の具体的な関わり方についてお話しを伺いました。
—「勉強や成績のこと」「将来や進路のこと」「社会のニュース」についての会話がカギになる、という示唆について、りんだ先生はどのようにお考えになりますか?
中学生という年齢は、思春期真っ只中で、不安定な時期。また、高校進学を控え、自分の将来について考え始める、「自分探し」の時期です。
そんな時期だからこそ、保護者と具体的な将来の話をすることで、将来自分がやりたいことが少しずつ具体化され、勉強する理由が自分の中で明確になるのではないかと私は考えます。つまり、「しなければならない」から「自分に必要だからやる」という意識にかわり、それが、「嫌い」から「好き」への変化となって現れているのではないでしょうか。
ちなみに、母親でもこの役割を果たすことができますが、思春期の親子関係は不安定で、時には一方より他方の親との方が話しやすい場合もあります。「自分探し」真っ只中のお子さまだからこそ、母親だけで考えるのではなく、夫婦でともに考え、連携しながら、お子さまと「将来や進路のこと」などについて会話していくことが必要な時期でもあると思います。
—夫婦で連携しながらお子さまの学習に向き合っていくこと、高校進学という大きな選択がある中学生だからこそ大切になってきますね。ペアレンティングアドバイザーであり、中学生のお子さまをもつ保護者でもある、りんだ先生が実践されているお子さまの学習における夫婦での連携方法はありますか?
学校や進路など、子どもの学習に関する情報量が夫婦で同じになるように心がけることを大切にしています。夫婦間で情報量の格差があると、多く情報をもっている方の意見ばかりが通ってしまうからです。
私たち夫婦は、授業参観、進路説明会、進路の面談等はなるべく交替で行くようにしています。そして、先生から聞いた子どもの学習の様子や成績の変化など得た情報は、必ず夫婦で「共有」します。そうすることで、夫婦間の情報格差を最小限に止めることができ、常に同じ土俵で子どもと話をすることができるのです。
—夫婦間での進路などに関する情報共有は、意識しなければ、思っている以上にできていないことなのかもしれませんね。
では、いざ子どもに勉強の話しをしようとしても、反発され、ケンカになってしまうこともあるとよく耳にします。そんな中で、具体的にはどんなシーンでどんな会話をしていくとよいでしょうか?
テストの成績や勉強のことを話すとケンカになるのは、親がハンドルを握ろうとすることに対する反発です。干渉してほしくないのに、親が必要以上に踏み込んでくることに対する拒絶反応です。
テスト返却時期に、「テストの結果どうだった?もっとこうしたらよかったんじゃない?」とハンドルを握ろうしていると感じられる話し方ではなく、ご飯を食べているときなどに、「進路説明会でこんな話しを聞いて、私はこう感じたよ」と、保護者自身の考えを「共有」するスタンスで話すとよいと思います。日常的に、保護者自身の仕事の話や社会課題に対する考えを共有するのもよいですね。大切なのは、子供に何かを「教える」のではなく、「共有する」というスタンスです。
無理やり子供にコメントを求めたり、考えを聞き出す必要はありません。子供の反応を過度に期待せずに、とりあえず共有する。気が向けば自分の意見を言ってくるかもしれません。そのときは否定せずに興味をもって聞くといいでしょう。
上述のように、お子さまは「自分探し」の時期ですから、自身について考えるヒントを探しています。「共有する」ことで、自然なかたちで保護者の方の考えに触れ、それが「自分探し」のヒントとなり、お子さまの学習に向かう気持ちが変わるきっかけになるのです。
定期テストが終わり、結果が返ってきているご家庭も多い今、「勉強や成績のこと」「将来や進路のこと」などは、話すタイミングや話し方が難しい面もありますが、夫婦で連携しながら、お子さまに考えを「共有する」というスタンスで話してみてはいかがでしょうか?