脱ゆとり教育!?「コツコツ勉強」派が増えているワケ
保護者の方は中学生の頃、どんなふうに勉強をしていましたか?
毎日部活動などで忙しくてテスト勉強は慌てて1週間前からだった…もしかしたら、そんな方が少なくないかもしれません。
一方で、今の子ども達には異なる傾向が見られます。実は、「コツコツ勉強」派が増えているのです。その実態を、ベネッセ教育総合研究所の25年間の調査結果から見ていきましょう。
「テスト勉強は2週間前から」が40%以上
1990年代、「テスト勉強はいつから始める?」とたずねれば、「1週間くらい前から」と答える子どもたちが一番多くいました。
しかし、【図1】を見ると、2015年には「2週間くらい前から」と答える子が40%以上となっています(第5回学習基本調査)。特に、2001年以降大きく割合が増えています。この時期に、何か転機となるようなことがあったと考えられそうです。
【図1】テスト勉強の開始時期(中学2年生)
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015より
ほとんど毎日勉強する中学生が急増中!
子どもの“勤勉傾向”は、テスト勉強を早く開始するというだけではありません。
「毎日コツコツ」か「試験の前にまとめて」か、どちらのタイプかをたずねたところ、【図2】の通り、「試験の前にまとめて」派の方が未だ多いものの、25年の間に「毎日コツコツ」派が着実に増加していることがわかります。
【図2】勉強のタイプ(中学2年生)
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015より
さらに、【図3】で「家でどれくらい勉強するか」をたずねたところ、【図1】のテスト勉強の開始時期の結果と同様に、2001年以降に変化が見られました。ほとんど毎日勉強する中学生が増加していることがわかったのです。
【図3】家庭学習の日数(中学2年生)
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015より
「コツコツ勉強」は学校の働きかけで増えた?
「コツコツ勉強」派が増えた2001年と2006年の間に、日本の教育において大きな変化がありました。「ゆとり教育」から「確かな学力」への転換を示す政策が打ち出されたのです。それを受け、2007年には全国学力テストも始まり、学校における子どもたちへの家庭学習指導が強化されたのではないかと考えられます。
学校における家庭学習指導といえば、宿題とともに、学習計画に関する指導も挙げられます。そこで、学校の先生に学習計画の指導についてたずねた結果(【図4】)を見ると、中学校での細かな指導の様子がわかってきました(第6回学習指導基本調査)。
【図4】学習計画の指導内容(中学校教員)
注)対象は、「学習計画の指導をしている」と回答した中学校教員3,354名(全回答者の90.9%)
ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査」2016より
多くの教員がテスト前に子どもに学習計画表を提出させています。計画性を持って着実に勉強させる指導が強まっているのです。「コツコツ勉強」派の子どもが増えたのは、こうした学校の指導が奏功した結果かもしれません。
25年間で中学生の勉強の仕方が変わり、「コツコツ勉強」派の子どもが増えています。とはいえ、主体的に学習に向かうというよりも、学校側からの働きかけが大きく影響しているという点もわかってきました。
みなさんのお子さまはいかがでしょうか?ご紹介したデータをお子さまとの会話の材料にして、「実はみんなコツコツ勉強をしているみたいだよ」と伝えてみるのもよいかもしれませんね。
出典元:
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4801
ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査」2016
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5080