増える廃校とその利用方法は?

少子化による児童生徒数の減少のため、多くの公立学校が廃校になっています。廃校になった学校の校舎などは、その後、どうなっているのでしょうか。文部科学省の調査で、廃校後に施設が残っている公立学校のうち、約7割が社会教育や福祉関係などの施設になっていることがわかりました。学校は消えても、思い出の残る施設は何らかの形で活用され続けているようです。

14年間で公立6,811校が

文科省の廃校施設活用状況実態調査によると、廃校となった全国の小学校から高校までの公立学校は、2014(平成26)年度が477校、15(同27)年度が520校に上っています。2002(平成14)年度からの累計で見ると、14年間で6,811校(小学校4,489校、中学校1,307校、高校等1,015校)の公立学校が廃校となったことになります。

都道府県別に2002(平成14)年度から15(同27)年度までの廃校数が多い順に見ると、北海道が688校(各463校、153校、72校)、東京都が285校(各132校、82校、71校)、岩手県が251校(各163校、59校、29校)、熊本県が249校(各187校、50校、12校)などとなっています。逆に廃校数が少ないのは、滋賀県が24校(各19校、3校、2校)、福井県が41校(各30校、6校、5校)、沖縄県が50校(各24校、22校、4校)などでした。

2002(平成14)年度から15(同27)年度までの間で廃校になった6,811校のうち、現在も校舎などの施設が残っているのは5,943校です。このうち4,198校(70.6%)が、何らかの形で活用されています。

廃校施設の主な活用方法(複数回答)としては、「学校(大学を除く)」が1,609校と最も多く、いったん廃校になったあとで、複数の学校を統合した新校として再スタートしたケースが多いことがうかがえます。次いで多いのが「社会体育施設」で1,015校、「社会教育施設・文化施設」が675校、老人福祉施設や障害者福祉施設など「福祉施設・医療施設等」が424校、「企業等の施設・創業支援施設」が370校、役所の「庁舎等」が268校、「体験交流施設等」が239校などの他、「大学」として使われているのも35校ありました。

地域の財産として活用する視点が必要

一方、施設が残っているにもかかわらず、活用されていない廃校は1,745校(29.4%)で、うち1,260校が、いまだに活用方法などが決まっていません。決まらない理由としては、「地域等からの要望がない」などが挙げられています。しかし活用が決まらない廃校の半数以上が住民からの「意向聴取」をしていなかったり、8割以上が活用方法の公募をしていなかったりするなど、自治体の努力不足という面もあるようです。

年々増え続ける廃校について、文科省は、一定条件を満たせば学校建設費に充てた国庫負担金を国に返還しなくてもよいようにした他、「『みんなの廃校』プロジェクト」事業をスタートさせて、廃校利用事業の成功例を紹介したり、廃校利用事業の公募などを支援したりして、積極的に廃校を活用することを推進しています。
少子化により今後も廃校が増えることは避けられないでしょう。廃校も地域の貴重な財産と位置付けて、残った施設を有効に活用していく視点が、さらに求められることになりそうです。

※廃校施設活用状況実態調査の結果について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/01/1381024.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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