18歳成人には消費者教育が不可欠 消費者委が報告

消費者行政のチェックなどを担当する内閣府の消費者委員会は、民法改正による18歳成人の具体化の前提として、18~22歳を「若年成人」と位置付け、不当な契約を取り消すことができる制度を設けるよう提案する報告書をまとめました。小学校から大学までを通じた消費者教育の充実なども求めています。18歳成人には、どんな課題があるのでしょうか。

懸念される消費者被害の増加

2016(平成28)年6月の改正公職選挙法の施行により、18歳選挙権が実現しました。これに対して法務省は、選挙権年齢と民法上の成人年齢は同一であることが好ましいという立場から、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正を検討しています。しかし18歳成人になると、「消費者被害」が増加することが懸念されます。

現在、20歳未満の未成年者は、民法の未成年者取消権によって、保護者など法定代理人の同意のない売買契約などの法律行為を取り消すことができます。ところが18歳で成人となると、未成年取消権の対象から外されるため、マルチ商法など悪質な詐欺に遭ったり、高額商品契約を結ばされたりするといった危険性が高いのです。

国民生活センターによると、20~22歳の成人直後の年齢層からマルチ商法・サラ金・教養娯楽教材・エステなど、消費者被害の相談件数が増えています。現行の20歳成人でも問題があるということです。

このような状況を受けて消費者委員会は、「段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境」を整備する必要があると指摘。18~22歳を新しく「若年成人」と位置付けたうえで、知識や経験の不足につけこんだ不当な契約を取り消すことができるようにすることを提案しました。

ただし、これは18歳成人論議よりも踏み込んだ内容であるため、事業者などの一部からは「規制強化」といった反発が出ることも予想されます。消費者委員会では、国民的コンセンサスを踏まえた検討が必要であるとしています。

重要性を増す学校での消費者教育

18歳成人になると、今よりも学校などでの消費者教育が重要になってきます。現行の学習指導要領でも、家庭科や社会科を中心に消費者教育をすることになっていますが、実際には授業時間が少なく、効果に疑問があるという指摘があります。

このため消費者委員会は、小学校から高校を通じて、教科横断的な視点で教育課程を編成するなど消費者教育に系統的・体系的に取り組むよう充実させる必要があるとしています。特に中学校から高校における消費者教育を重視し、学校教育やそれを支援する体制の整備を求めています。

さらに大学などについても、地元の消費生活センターとの情報の共有化、学生相談室などによる消費者トラブル対応の強化、初年次教育などにおける消費者教育の取り組みの強化などを提言しています。

単に18歳になれば法的に「大人」とみなし、すべてを自己責任として社会に投げ込むだけでよいのか。18歳成人の論議には、現在の20~22歳の層も含めて、社会の一員となる成人をどう育てていくのかという視点が必要なようです。

※成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2017/240/doc/20170110_shiryou1.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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