視力1.0未満の子どもが過去最高 むし歯は中学校と高校で過去最低に

文部科学省がまとめた2016(平成28)年度の「学校保健統計調査」(速報)で、視力が「1.0未満」の子どもの割合が、小学校から高校を通じて過去最高となったことがわかりました。視力低下の背景には、子どもの間でスマートフォン(スマホ)が普及したことにより、小さな画面を長時間にわたり見続けるような生活習慣が広がったことが考えられそうです。一方、むし歯のある子どもの割合は、中学校と高校で過去最低となりました。食生活に対する保護者の意識の高まりがうかがえます。

スマホの普及なども影響か

調査は2016(平成28)年4~6月に、国公私立の幼稚園から高校までの子ども全体の25.3%に当たる約344万人を対象に実施しました。

裸眼視力が「1.0未満」の子どもは、幼稚園が27.94%(前年度比1.12ポイント増)、小学校が31.46%(同0.49ポイント増)、中学校が54.63%(同0.58ポイント増)、高校が65.98%(同2.19ポイント増)となりました。幼稚園では過去最高だった2008(平成20)年度の28.93%を下回っているものの、やはり最近3年連続して上昇しています。

さらに、裸眼視力が「0.3未満」の子どもの割合は、幼稚園が0.85%、小学校が8.62%、中学校が26.68%、高校が37.54%で、高校生の約4割が視力0.3未満となっています。

「むし歯」のある者(処置完了者を含む)の割合は、幼稚園が35.64%(前年度比0.59ポイント減)、小学校が48.89%(同1.87ポイント減)、中学校が37.49%(同3.0ポイント減)、高校が49.19%(同3.3ポイント減)となっており、中学校と高校では過去最低となりました。また幼稚園と小学校でも過去最低だった1949(昭和24)年度と51(同26)年度の記録には及ばないものの、むし歯のある子どもの割合が90%を超えていた1970年代と比べると雲泥の差となっています。子どもの食生活やむし歯の治療に関する保護者の意識が格段に向上したことで、これからもむし歯のある子どもの割合は低下しそうです。

耳疾患が過去最高に、鼻・副鼻腔疾患も増加傾向

一方、気になるのは中耳炎や内耳炎などの「耳疾患」がある子どもの割合が、小学校で6.09%、中学校で4.47%、高校で2.30%といずれも過去最高になったことです。また、蓄膿(ちくのう)症やアレルギー性鼻炎などの「鼻・副鼻腔(びくう)疾患」も、小学校で12.91%と過去最高になった他、中学校(11.52%)と高校(9.41%)でも増加傾向にあります。これら耳や鼻の疾患の増加の原因としては、花粉症などのアレルギー性疾患のある子どもが増えたことなどが考えられそうです。

アトピー性皮膚炎のある子どもは、幼稚園が2.39%、小学校が3.18%、中学校が2.65%、高校が2.32%でした。幼稚園から中学校までは、やや減少または横ばい傾向となっている他、高校では前年度に過去最低となりましたが、今回は増加しました。

ぜん息のある子どもは、幼稚園2.30%、小学校3.69%、中学校2.90%、高校1.91%でした。小学校から高校では減少傾向にありますが、幼稚園では2年連続して増加しており、今後の動向が注目されます。

※学校保健統計調査-平成28年度(速報)の結果の概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/1380547.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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