大学はまだまだ変わる? 「三つの方針」義務付けで

大学改革の一環として、2017(平成29)年4月から、すべての大学に対して、「入学者の受入れに関する方針」(アドミッション・ポリシー)、「教育課程の編成及び実施に関する方針」(カリキュラム・ポリシー)、「卒業の認定に関する方針」(ディプロマ・ポリシー)という「三つの方針」の策定と公開が義務付けられるようになります。しかし、文部科学省の調査によると、従来からほとんどの大学がこの三つの方針を策定しています。なぜ、改めて三つの方針を義務付ける必要があったのでしょうか。

2017年4月から策定と公開

まず、アドミッション・ポリシーは、自分たちの大学ではこんな学生を求めているという「入口」に関する声明、カリキュラム・ポリシーは、どんな教育をしてどういう人材を育てるかという「中身」に関する声明、最後のディプロマ・ポリシーは、大学でどんな力を身に付けさせて卒業させるかという「出口」に関する声明です。

三つの方針を読めば、各大学がどんな学生を欲しているか、どんな教育をするのか、そして、どんな付加価値を学生に付けて卒業させるのかがわかるわけです。このため文科省は、省令を改正して、三つの方針の策定と公開を2017(平成29)年度から各大学に義務付けることにしています。

ところが、文科省の2014(平成26)年度「大学における教育内容等の改革状況調査」によると、アドミッション・ポリシーを策定している大学は100%、カリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーを策定している大学は各98%で、ほぼすべての大学が三つの方針を策定し公開しています。

それにもかかわらず、なぜ文科省は義務付けをしたのでしょうか。これについて文科省は、各大学が定めたポリシーの多くが抽象的・形式的なものに過ぎず、しかも三つの方針が相互に関連付けられていないと指摘しています。

どんな力を身に付けたかが重要に

これからは、たとえばアドミッション・ポリシーでは、より具体的にどんな学生を求めているのか、そのためにどんな選抜を実施するのかまで、明確に示す必要があります。そしてカリキュラム・ポリシーでは、どんな教育をするのか、どんな組織的態勢を組むのか、さらにディプロマ・ポリシーでは、最終的にどんな力を身に付けさせて卒業させるのかを、それぞれ具体的に示さなければなりません。これによって大学教育の質を保証する他、高校生などに各大学の具体的姿を見せることで、高大接続改革や大学入試改革を図ることも、狙いの一つです。

各大学は、三つの方針を高校生や保護者などにもわかりやすく説明する義務も課せられており、しかも、その内容と実態は、第三者機関による大学評価の対象となります。大学入試まで外部評価の対象となることから、大学入試改革が急速に進む可能性もあります。

三つの方針によって、これからの大学には、入試から卒業まで一貫した一体的取り組みが、求められます。逆に言えば、学生にとっては、大学入学よりも大学で何を身に付けたのかという中身がより重要になってくるわけです。
4月以降、各大学がどのようなポリシーを示すのかが注目されるところです。

※大学における教育内容等の改革状況について(平成26年度)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/1380019.htm

※学校教育法施行規則の一部を改正する省令の公布について(通知)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1369884.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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