百人一首の覚え方・コツ 「決まり字」の暗記が必勝ポイント!【かるたクイーンが解説】

日本の伝統文化の学習に力を入れるため、2011年度から小学校の国語に古典が導入されました。授業に小倉百人一首を取り入れ、「百人一首かるた大会」を開催している小学校もあるようです。そこで今回は、第60期かるたクイーンである坪田翼さんに、「百人一首かるた」のおもしろさや札を覚えるコツについてお聞きしました。

かるたの醍醐味は札を払う瞬間にあり!

私が「競技かるた」に出あったのは小学3年生のときです。担任の先生が、小倉百人一首が大好きで、小倉百人一首の札を使って行う「競技かるた*」を教えてくれました。もともとトランプや郷土かるたなどのカードゲームが大好きだった私は、「競技かるた」にすぐにのめり込んでいきました。競技かるたの「札を払う」という行為は、他のカードゲームやスポーツにない独特の動きです。相手より早く札を払えた瞬間は、とても気持ちが良いのです。

*「競技かるた」とは…「小倉百人一首」の取り札100枚から25枚ずつを選んで自陣と敵陣に並べ、読み手が読む上の句を聞いて、相手より早く下の句の札を取る競技。敵陣の札を取ったときと、相手がお手つきをしたときに、自陣の札1枚を敵陣に送る。自陣の札が先になくなったほうが勝ち。

百人一首かるたの必勝法は決まり字を覚えること

小学校で行われる「百人一首かるた大会」は「競技かるた」ではなく、散らし取り(場に散らばった札を複数人で取り合うゲーム)形式の場合も多いようですが、その場合であっても、まずは札を覚えることから始めるとよいと思います。百人一首の取り札は、いろはかるたなどと違って、上の句の頭文字や絵柄がかかれたりしていないため、上の句を聞いて、下の句の書かれた取り札を見つけなければならないからです。下記の方法で効率よく覚えると、きっと多くの札を取ることができると思います。

(1)決まり字を覚えよう
どの句が読まれても取ることができるように、まず100首を覚えることから始めましょう。私も競技かるたを始めたばかりの頃は、母に上の句を読んでもらい、下の句を言う練習をしていました。ただ、一度に100首覚えるのは大変ですよね。そこで役立つのが「決まり字」を覚える方法です。「決まり字」とは、上の句を数文字聞いただけで、下の句を特定できる字のことです。決まり字には、一字決まりから六字決まりまでありますが、一字決まりから覚えるとよいと思います。

例えば、

びしさに やどをたちいでて ながむれば
いづこもおなじ あきのゆふぐれ

という句があるのですが、「さ」から始まる歌は百人一首には1首しかないため、読み手が「さ」と一文字言っただけで、「いづこもおなじ あきのゆふぐれ」と書かれた下の句の札をさっと取ることができます。このように、最初の一文字を聞いただけで下の句が特定できる「一字決まり」は7首あります。この7首は、上の句の頭文字をとって、「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」とセットにして覚えるのが一般的です。また、決まり字と下の句の数文字を語呂合わせにして覚える人も多いです。

例えば、二字決まりの下記の歌の場合

かささぎの わたせるはしに おくしもの
しろきをみれば よぞふけにける

かさしろ(傘は白)」と覚えておくと、記憶しやすいです。このように自分なりに語呂を作るなどして、上の句の決まり字を聞いただけで、下の句が言えるようになることをめざしましょう。

(2)「札流し/札落とし」に挑戦しよう
100首が頭に入ったら、今度は取り札を見て、上の句の決まり字を言う練習をしましょう。この練習をしていると「競技かるた」の試合で、取り札を見ただけで、上の句が浮かび上がって見えるようになるのです。どれだけ早く言うことができるかタイムを計ると、より効果的な練習になります。一人で練習できるので個人練習にもぴったりです。ちなみに、私は小学生の頃、100首を1分以内に言えることを目標にしていました。

(3)実戦形式で練習しよう
(1)(2)の練習で札が覚えられたら、あとは実践あるのみです。友達や保護者と実戦形式で練習するとよいですね。ただ、対戦相手がいないという場合は保護者が読み手になり、お子さまが素早く札を取る練習をしましょう。上の句を読み終えるまでに取れない場合は、保護者のかたが札を取るなどゲームの要素を入れると、より楽しく練習できると思います。

もっと強くなりたいというお子さまは、かるた会に参加することをおすすめします。全国各地でかるた会が開催されているので、実践形式で練習することができます。私も小学生の頃からかるた会に参加し、年上の方たちと練習することで、札の置き方や払い方、覚え方などたくさんのことを教えていただきました。全日本かるた協会のホームページ(http://www.karuta.or.jp/kai/index.html)には、全国各地のかるた会が紹介されていますので、ぜひ調べてみてください。

入門期におすすめなのは「五色百人一首」

いきなり100首を覚えるのが難しい場合は、「五色百人一首」から始めてみてはいかがでしょうか。「五色百人一首」とは、学校の先生が考案した、百人一首をマスターするための教材です。百人一首の札が20枚ずつ5色(青・緑・黄・橙・桃)に色分けされています。1回のゲームで使用するのは1色だけ。20枚の札を1人10枚ずつ並べ、2人で取り合います。競技時間が長い競技かるたと違い、3〜5分ほどで決着するため、気軽に家族や友達と楽しめるのが特徴です。青の札を覚えたら、緑の札を覚えるといったように、徐々に覚えるカードを増やしていくとよいと思います。

近年、この教材をきっかけに「競技かるた」に興味をもってくれるお子さまが増えています。「百人一首かるた」は、年齢、性別問わず多くの人と交流できるのが魅力です。お正月はもちろんのこと、年間を通じて楽しんでもらえるとうれしいです。

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プロフィール


坪田翼

東京東会所属。小学3年生のときにかるたを始め、全国選抜大会など主要大会での優勝を誇り、2015年3度目の挑戦で悲願「第59期かるたクイーン」のタイトルを獲得。その後、出産を経て、ママとして第60期クイーン位決定戦に臨み、初防衛を果たす。

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