お子さまが「海外の大学に進学したい」と希望したら?(入学審査編)
社会のグローバル化が進んでいくなか、近年は国も中学、高校段階の英語教育の改革に力を入れています。こうした流れの中で、海外大学への進学に興味を持つ高校生も増えてくるのではないでしょうか。この記事では、海外大学に進学する際の入学審査などについて解説をします。
入学審査を受ける前に、まずは英語力の基準を確認
アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリアなどの大学は、自国以外の学生を受け入れる際に、英語力の基準を設けています。これは、英語で行われる授業についていけるかどうかを判断するためです。具体的には、TOEFLやIELTSといった英語のテストを受け、出願時にスコア(点数)を提出します。基準となるスコアは大学によって異なります。
TOEFLは主にアメリカやカナダの大学でよく使われ、IELTSはイギリスやオーストラリアの大学でよく使われます。進学したい国、入学したい学校によって、どちらかのスコアしか認められない場合もあるので、注意が必要です。
大学独自の学科試験はなく、主に書類による審査が行われます
次に入試制度について確認しましょう。アメリカの大学の場合、日本のセンター試験のように、全国一斉の入学試験はありません。また、各大学が独自に試験を課すわけでもありません。一発勝負の学力試験ではなく、主に書類審査で入学者を選抜しています。
書類審査は「高校の成績証明書」「英語のエッセイ(自己紹介文)」「課外活動」「教員からの推薦状」「テストスコア」などを使って行われます。ここで言うテストスコアはSATというアメリカの進学適正試験のスコアを指します。また、大学によっては面接が課されることもあります。アメリカの大学がこうしたやり方を取っている背景には、学力だけを見るのではなく、総合的に人物を評価しようという考えからあるからです。
テストによる一発勝負ではないかわりに、高校3年間を通じた努力が重要に
上で説明したように、アメリカの大学は独自に学力テストを課さないため、日本の大学入試と違って、「5科目の受験勉強をする」という対策は通用しません。勉強や課外活動(部活や文化活動、ボランティアなど)のすべてを頑張る必要があります。また、英語のエッセイは単なる英作文とは異なり、自分の個性をアピールする書き方が求められます。これも時間をかけて、練り上げていかなければならないでしょう。推薦状は、高校の先生からの人物評価ですから、先生に自分の魅力をよく理解しておいてもらう必要があります。
このように海外進学をめざすならば、できるだけ早い段階から、努力を重ねる姿勢が重要です。さらに、お子さま自身が自分の実力や適性をきちんと把握したうえで、進学先を考えていくことも大切でしょう。保護者がアドバイスをするのは、なかなか難しいでしょうから、海外進学の事情をよく知る専門のカウンセラーに、まずは相談するのがよいでしょう。「ベネッセ海外留学センター」もぜひご利用ください。
※取材協力 ベネッセ海外留学センター
2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。