交通事故、7歳児が要注意 突出して多い死傷者数

歩行中の交通事故による死傷者の数が、すべての年齢のうち、7歳で際立って多いことが、交通事故の調査研究を行っている「交通事故総合分析センター」のリポートでわかりました。7歳は、歩行中の交通事故に最も巻き込まれやすい「魔の年齢」と言えそうです。なぜ7歳の子どもたちは、交通事故に遭いやすいのでしょうか。

成人の2.5倍、高齢者と比べても2倍

2015(平成27)年に発生した歩行中の交通事故による死傷者は、5万6,962人でした。死傷者全体では、19歳以下の子どもが18%なのに対して、65歳以上の高齢者は32%を占めており、高齢者の交通安全対策が叫ばれる理由となっています。このことはマスコミなどでも大きく報道されており、ご存じの人も多いでしょう。

ところが、歩行中の交通事故による死傷者数を5歳単位で見てみると、「70~74歳」は4,149人、「75~79歳」は4,290人なのに対して、「5~9歳」は4,853人と最も多くなっています。つまり、歩行中の交通事故による死傷者が最も多いのは、実は高齢者ではなく「5~9歳」の子どもたちというわけです。

さらに1歳刻みで死傷者数を見ると、死傷者のピークは7歳の1,462人で、他の年齢に比べて突出していることが明らかになりました。20~60歳までの死傷者は各年齢とも600人前後、65歳以上の高齢者層でも800人前後となっており、7歳児の死傷者数がいかに多いかがわかると思います。

同センターは、「7歳児の死傷者数は成人の2.5倍、65歳以上の高齢者の約2倍の多さ」と説明しています。

入学前から一人で安全な行動を取れる指導を

歩行中の交通事故の死傷者は、全体的には夜間と日中の事故がほぼ同数なのに対して、7歳児の場合は、73%が日中に発生していました。これに、日没前後の薄暮時を加えると、93%となります。さらに、7歳児の交通事故を曜日別に見ると、平日は250人前後となり、土曜日の約2倍、日曜日の約2.5倍となっています。要するに、7歳児の交通事故のほとんどは、平日の明るいうちに起きるということです。

この他、通行目的別で子どもの交通事故を見ると、学校への登下校中の事故は、小学校入学の6歳から急増。道路上での遊戯時や、友達などへの訪問時の事故も増えますが、いずれも7歳をピークに減少しています。また、7歳児の交通事故による死傷者は、男子が女子の2倍以上になっているのも特徴です。

なぜ7歳児は、交通事故が多いのでしょうか。同センターは、事故には至らなかった数多くの危険体験があり、そこから子ども自身が学ぶことで、8歳以降は交通事故が減ると推測しています。送り迎えがある幼稚園・保育園から、自分で登下校する小学校に移るなかで、まだ保護者などが行動に注意をしている6歳児、自分で比較的安全な行動を取れるようになる8歳児に対して、その中間の7歳児は、急激に活動範囲が広がることもあり、交通事故に巻き込まれやすい「魔の年齢」となっていると言えそうです。
同センターは、小学校に入学するまでに、子どもが一人で安全な行動を取れるよう意識しながら、保護者などが交通安全に関する指導を積み重ねていくことが重要であるとしています。

※交通事故総合分析センター「交通事故分析レポート」
http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info116.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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