乳幼児の4人に1人が毎日排便していないのはなぜ!?

厚生労働省の2015(平成27)年度「乳幼児栄養調査」で0~6歳までの乳幼児のうち、4人に1人が毎日排便していないなど健康状況に懸念があることがわかりました。その一方で、家庭に経済的ゆとりがあるかないかで、乳幼児の食生活に大きな違いが見られることも明らかになりました。

生活習慣などは保護者次第だが……

調査は2015(平成27)年9月に実施し、6歳未満(同5月末時点)の子どもがいる3,871人の保護者からの回答を集計しました。

子どもの健康状態に関して、排便の状況を聞いたところ、「ほぼ毎日排便がある」と答えたのは76.2%でした。子どもの排便と起床時間(平日)の関係を見ると、ほぼ毎日排便があるという子どもの割合は、起床時間が午前6時前で82.0%、午前6時台が78.4%、午前7時台が74.1%などで、起床時間が遅い子どもほど毎日排便していないという傾向があります。

起床時間が早い子どもは、当然ながら就寝時間も早くなっています。そして、保護者の就寝時間が遅いほど、子どもの寝る時間も遅いということがわかりました。また、きちんと朝食を食べない保護者の子どもは、やはり毎日朝食を食べる割合が低いこと、さらに、子どもが欲しがる時におやつを与えたり、甘い飲み物やお菓子を与えたりすることが多い保護者の子どもは虫歯がある割合が高い……という結果も出ました。このことから、乳幼児の生活習慣や健康は、保護者次第ともいえます。

家庭の経済的要因が食生活などに影響も

一方、調査では初めて、経済的要因と食生活の関係を調べました。まず家庭の「経済的な暮らし向き」について、「ゆとりあり」は29.3%、「どちらともいえない」は33.0%、「ゆとりなし」は37.5%などとなっています。

さらに、主要食物を「毎日1~2回以上」食べるという家庭(2~6歳の保護者)の割合を見ると、魚を毎日1~2回以上食べている家庭は、「ゆとりあり」が20.6%、「ゆとりなし」が15.9%でした。同様に、肉は「ゆとりあり」36.2%・「ゆとりなし」31.3%、野菜は「ゆとりあり」82.3%・「ゆとりなし」74.8%、果物は「ゆとりあり」47.0%・「ゆとりなし」32.7%などとなっています。

反対に、甘味飲料は、「ゆとりあり」28.1%・「ゆとりなし」32.7%、お菓子は「ゆとりあり」55.6%・「ゆとりなし」61.0%で、ゆとりのない家庭のほうが多く食べています。また「週に1~3回」食べるもので、インスタントラーメンやカップ麺は「ゆとりあり」7.3%・「ゆとりなし」11.5%、ファストフードは「ゆとりあり」10.1%・「ゆとりなし」13.1%となっています。これらのことから、暮らしにゆとりのない家庭では、仕事や生活に追われて食生活や生活習慣が乱れやすいと推測されます。

乳幼児の生活習慣や健康は、保護者に大きく左右されます。だからこそ発達の原点となる乳幼児期の健全な育ちを支えるためには、自己責任と切り捨てるのではなく、経済的な困難などを抱えた家庭への社会的支援が強く求められている……といえるのではないでしょうか。

※平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000134208.html

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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