少年犯罪が12年連続の減少、戦後最低に

警察庁の調査によると、2015(平成27)年中に刑法犯として検挙・補導された少年(14~19歳)の人数は約3万8,900人で、12年連続の減少となり、戦後最低を更新しました。マスコミなどで少年による凶悪な犯罪などが報道されるたびに、少年犯罪の増加や凶悪化などが話題になりますが、単なる憶測にすぎないことをデータは示しています。ただ、最近の傾向として、気になる事態も見られるようです。

少年人口1,000人当たりの検挙・補導者も減少

全国の警察が2015(平成27)年の1年間に刑法犯として検挙・補導した14~19歳の「刑法犯少年」の数は、前年より9,440人(19.5%)少ない3万8,921人でした。検挙・補導者の数は、最近では2003(平成15)年の14万4,404人をピークに、12年連続で減少しています。2011(平成23)年には7万7,696人で戦後最低を記録し、以後4年連続で戦後最低を更新しています。つまり、刑法犯少年の数は確実に減少しており、少年犯罪が増えているという見方は間違いであることがわかります。

一方、刑法の対象とならない13歳以下の子どものうち、刑法犯相当の罪で補導された「触法少年(刑法)」の人数は、前年より2,087人(17.6%)少ない9,759人で、やはり6年連続の減少となっています。

ただし、少子化により子ども人口が減少しているため、刑法犯少年の数が減ったからといって少年犯罪が減少していることにはならない……という見方もあるかもしれません。そこで、同年齢層1,000人当たりの人口比で比較してみましょう。統計上、人口比で最も刑法犯少年が多かったのは1982・83(昭和57・58)年でともに1,000人当たり18.8人、最も少なかったのは54(同29)年の8.2人でした。これに対して2013(平成25)年は7.8人で戦後最低を記録、以後、14(同26)年は6.8人、15(同27)年は5.5人と、戦後最低を更新しています。現在は、少年犯罪が戦後最も少ない時代といえるでしょう。

振り込め詐欺は増加、性犯罪の低年齢化も

では、少年犯罪の凶悪化はどうでしょうか。殺人や強盗などの「凶悪犯少年」は2006(平成18)年は1,170人でしたが、15(同27)年は586人に減少する一方、刑法犯少年全体に占める凶悪犯少年の割合は、06(同18)年の1.04%に対して、15(同27)年は1.51%となっています。少年犯罪全体の割合から言えば、凶悪犯罪は増えてもいないが減ってもいないというのが実態のようです。

全体的に少年犯罪が減少しているなかで、最近の傾向として気になるのは「振り込め詐欺」による検挙・補導者の増加、そして、性犯罪の低年齢化です。 振り込め詐欺による検挙・補導者は、2009(平成21)年が33人でしたが、15(同27)年は394人へと急増しています。アルバイト感覚で詐欺に加担する子どもが増えているようです。

強姦(ごうかん)や強制わいせつなどの性犯罪による刑法犯少年は、2006(平成18)年に348人だったのが、15(同27)年には453人に増加しています。さらに13歳以下の触法少年も含めた中学生だけで見ると、性犯罪の検挙・補導者は2006(平成18)年の171人から15(同27)年には281人に急増。高校生も2006(平成18)年の123人から、15(同27)年には181人に増えています。特に中学生による性犯罪の増加が目立ちます。振り込め詐欺の増加とともに、性犯罪の低年齢化は、現代における少年非行の大きな問題といえるでしょう。

※平成27年中における少年の補導及び保護の概況
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hodouhogo_gaikyou/H27.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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