長期不登校、フリースクールと教委の連携を

文部科学省の「フリースクール等に関する検討会議」は、長期間にわたる不登校の子どもたちを支援するため、教育委員会と民間のフリースクールの連携を強化することを求めた審議経過報告をまとめました。子どもたちが「社会的に自立することを目指す」という共通の目標を掲げて、教育委員会と、フリースクールなど民間団体が連携することを求めているのが、大きなポイントです。

子どもの社会的自立を共通認識に

不登校をめぐる問題について、文科省は別に「不登校に関する調査研究協力者会議」を設けて、不登校全般の対策を審議していますが、同検討会議では、長期間の不登校に陥っている義務教育段階の児童生徒に対する、学校以外の場での学習支援などに焦点を当てているのが特徴です。

これらの子どもたちの一部は、学校外のフリースクールなど、民間団体の施設に通っていますが、その実態を十分に把握している市区町村教委は、多くないのが実情です。その原因の一つは、教委の掲げる不登校対策が学校復帰を目指すものであるのに対して、フリースクールなど民間団体では必ずしも学校復帰を目的としないところがあるなど、学校教育をめぐる考え方に相違があるためです。

これに対して、審議経過報告では、長期不登校の子どもたちにとって、フリースクールは有効な支援の場となっていると指摘したうえで、「不登校児童生徒の社会的自立を支援するという共通の目標を有しているという認識」に立って、市区町村教委と民間団体が連携・協働する必要があると提言しました。具体的には、市区町村教委と民間団体による連携協議会の設置、教員や教委職員と民間団体職員の相互交流、公民連携による施設の設置・運営などを挙げています。

一方、フリースクールなどにも通わず、自宅に閉じこもっている長期の不登校児童生徒に対しては、教委による、保護者などへのフリースクールや不登校の保護者の会などの情報提供、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーによる訪問型支援の拡大、ICTを活用した在宅型学習の活用などを方策として挙げています。

くすぶる制度と実態のずれ

文科省では、審議経過報告をもとに、都道府県教委や市区町村教委を対象にしたモデル事業や、民間団体への委託事業などを、2017(平成29)年度予算の概算要求に盛り込む方針です。また、フリースクールなど学校外施設への支援などについては、自民・民進・公明・おおさか維新の各党が共同提案した「教育機会確保法案」が先の通常国会にかけられましたが、社民・共産両党との話し合いがつかなかったため、継続審議となっています。

審議経過報告でも、フリースクールなどの制度上の位置付け、フリースクールに対する経済的支援などが、今後の課題として残されました。小中学校に在籍しながら、実際にはフリースクールに通っているという、制度と実態のずれをどう解決するのかは、義務教育の根幹にも関わるため難しい課題だといえます。

しかし、子どもたちの社会的自立を目指すという共通認識に立って、官民が互いに連携・協働しあう方策を模索することが重要でしょう。

  • ※フリースクール等に関する検討会議審議経過報告
  • http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000840&Mode=0

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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