話し合ってますか?家庭のルール 文科省が情報モラル教材

夏休みに入り、子どもたちの生活リズムの乱れなどを心配している保護者も多いと思います。中でも気になるのが、いじめや犯罪などのトラブルの原因にもなりかねない、スマートフォン(スマホ)などの情報端末機器をめぐる問題でしょう。これに対応して文部科学省は、情報モラル教育の一環として、動画教材などを作成しました。

ユーチューブに動画教材をアップ

文科省が作成したのは、「安全なインターネットの使い方を考える」と題する子ども向けの動画教材と、それを活用するための教師用手引きなどです。動画教材はユーチューブにアップされており、誰でも見られるようになっている他、教師用手引書なども文科省のホームページで見ることができます。

動画教材の内容は、「ネット依存 ネットゲームに夢中になると…」(小5~中1)、「ネット依存 身近にひそむネット依存」(中2~高3)など、ネット依存、ネット被害、SNSトラブル、情報セキュリティー、適切なコミュニケーションなどをテーマにしており、各テーマとも導入編と解説編に分かれています。教師用の手引書は、やや専門的な内容となっていますが、動画教材を子どもに見せながら情報モラルなどをどう指導したらよいかが解説されていますので、保護者にとっても参考となるでしょう。

注目されるのは、子ども向けだけでなく、保護者向けの動画教材も作成されていることです。動画教材「保護者のための情報モラル教室 話し合ってますか?家庭のルール」は、「初めが大事」「知らなかったではすまされない」「家庭のルール」の3話から成り、いずれも各5分程度でまとめられています。

文科省のホームページには、動画教材を見ながら保護者向け講習会をどう行うかという指導者向け講義ガイドもアップされていますが、一般の保護者にとっては動画教材とパンフレットを見るだけでも十分参考になるのではないでしょうか。

ルールづくりのポイントなど解説

内閣府の調査によると、小学生(10歳以上)の23.7%、中学生の45.8%、高校生の93.6%がスマホを利用しています。まだ小学生だから安心とも言えません。現在の携帯用ゲーム機は、インターネット接続が可能になっており、それでネットの掲示板やSNSなどを利用することもできるからです。動画教材などを見ながら、子どもたちにどんな危険があるのか、どうしたらそれを防げるのかなどの基本的な知識を保護者も身に付けることが必要でしょう。

スマホや携帯用ゲーム機などをめぐる家庭のルールでは、「お互いに納得できるよう、話し合って作る」「子供が守れるルールを作る」「具体的なルールを作る」「守れなかったらどうするか決めておく」などのルールづくりのポイントが示されている他、子どもの成長などに合わせて「ルールを作ったあとの見直し」が大切であることなどが説明されています。

夏休みにスマホやゲーム機などの情報端末機器について、子どもたちと一緒に「家庭のルール」を話し合ってはいかがでしょうか。

  • ※情報モラルに関する指導の充実に資する〈児童生徒向けの動画教材、教員向けの指導手引き〉・〈保護者向けの動画教材・スライド資料〉 等
  • http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1368445.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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