独自の学力テスト、38都府県・15都市が実施

文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)は有名ですが、それ以外にも、独自の学力テストを実施している教育委員会があります。文科省の調査によると、2016(平成28)年度は、38都府県・15指定都市の教育委員会が、独自の学力テストの実施を予定しています。独自テストには、どんな意味があるのでしょうか。

小5と中2が主な対象に

全国の47都道府県・20指定都市を対象に文科省が調査した結果、2016(平成28)年度に公立小中学校で独自テストの実施を予定している自治体は、小学校が37都府県・15指定都市、中学校が38都府県・15指定都市でした。

◆独自テスト実施の都道府県

青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・茨城・栃木・埼玉・東京・神奈川・石川・福井・山梨・長野・岐阜・三重・滋賀・京都・大阪(中学校のみ)・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄

◆独自テスト実施の指定都市

仙台・さいたま・千葉・川崎・横浜・新潟(中学校のみ)・浜松・名古屋・京都・大阪・堺(小学校のみ)・神戸・岡山・北九州・福岡・熊本

なお、群馬県と札幌市は数年に1度の割合で独自テストを実施していますが、2016(平成28)年度は実施しない予定です。

独自テストの実施方法は、神奈川県が抽出方式、茨城県など7県が希望制をとっている以外は、公立小中学校全部を対象とする悉皆(しっかい)方式となっています。また、全国学力テストは小6と中3を対象に実施されていますが、独自テストでは、小5と中2を対象にした実施が多いのも特徴の一つです。独自テストで小5を実施対象に含めていないのは、石川県・京都府・奈良県のみ、中2を対象に入れていないのは石川県と奈良県だけでした。

これは、全国学力テストの対象とならない学年の学力を知りたいということと同時に、次年度に全国学力テストを受けることになる小5と中2に対して、テストに慣れさせておきたいという狙いもあると推測されます。独自テストの多くは、全国学力テストと同じく基本的知識を問うA問題、応用力や思考力を問うB問題という構成をとっており、普段はあまり見ないB問題を経験させるという意味もあるようです。

テスト結果の活用こそが重要

独自テストのもう一つの特徴は、全国学力テストの対象教科である算数・数学、国語以外の教科もテスト対象にしていることでしょう。理科のテストを実施するのは、小学校が25都県・8指定都市、中学校が27都府県・10指定都市、社会のテストは小学校が16都県・8指定都市、中学校が22都府県・9指定都市、中学校の英語のテストは31都府県・12指定都市が実施する予定です。

この他、山形県と福井県、さいたま市が独自テストで「特徴的な枠組で行う問題」を実施するとしています。このうち山形県では、教科の枠を超えた総合型や合教科型の問題で独自テストをすることにしています。

一方、子どもたちの負担増を理由に独自テストに反対する声も、教育関係者の一部にはあるようです。いずれにしろ大事なことは、単にテストをするかしないかではなく、全国学力テストや独自テストを有効に組み合わせて、学力向上を図っていくことでしょう。

  • ※平成28年度実施(予定)の都道府県・指定都市による独自の学力調査について
  • http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1370627.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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