法科大学院は今どうなっているの? 志願者1万人割る

将来の子どもの進路として、弁護士などの法曹を考えている保護者もいると思います。文部科学省の調査で、2016(平成28)年度の法科大学院の入試で、志願者の数が初めて1万人を割ったことがわかりました。人気の低下に、まったく歯止めがかからない状況です。法科大学院の現状は、どうなっているのでしょうか。

創設当初の人気から一転

法科大学院制度は、米国のロースクールをモデルにして、実践的な法曹養成をするため、2004(平成16)年度に創設されました。現在では、司法試験を受験するには、原則として法科大学院を修了する必要があります。創設当初、政府は、法科大学院修了者の「7~8割」が司法試験に合格できるとうたったため、社会人などを含めて、大変な人気を集めました。

しかし、その後に人気が急落してしまいました。たとえば、法科大学院の数がピークの74校となった2005(平成17)年度入試では、法科大学院全体の志願者は4万1,756人、志願倍率は7.2倍で、入学者は計5,544人に上りました。ところが2016(平成28)年度入試では、志願者は8,274人、志願倍率は3.0倍、そして入学者は計1,857人と、過去最低を更新しました。法科大学院自体も、ピーク時の74校から45校にまで減少しています。

なぜ、これほどまでに法科大学院の人気が低下してしまったのでしょうか。それは、法科大学院修了者の司法試験合格率が低迷しているからです。法科大学院修了者の司法試験受験資格は、修了後5年間となっています。つまり、法科大学院を修了しても、5年間のうちに司法試験に合格できないと、司法試験の受験資格がなくなってしまうのです。

創設当初から現在まで、法科大学院修了者の司法試験の累積合格率は、50.3%にとどまっています。法科大学院を修了しても、平均で2人に1人しか司法試験に受からないとなれば、その人気が落ち込むのも仕方のないことかもしれません。加えて、最近の弁護士の就職難などを伝えるマスコミ報道が、法科大学院離れに拍車を掛けているようです。

さらに進む再編

もちろん、文科省も黙って見ているわけではありません。法科大学院を5段階にランク付けして、補助金や交付金を傾斜配分するという方策を、2015(平成27)年度から取っています。さらに2016(平成28)年度からは、最低ランクの法科大学院には補助金をゼロにするという思い切った方策を導入し、4校がその対象になりました。これらの補助金カットなどの方針を受けて、2014~16(平成26〜28)年度の間に、20校以上の法科大学院が学生募集の停止を決定しています。

文科省は、これからも法科大学院を再編して、全体で司法試験の累積合格率を「おおむね7割程度」まで引き上げる意向です。ただ、司法試験の合格者数は、これから年間1,500人程度に抑えることになっているので、累積合格率7割を達成するには、さらに法科大学院の数を減らす必要がありそうです。

司法試験合格率などは、法科大学院によって大きく違います。子どもが法曹を目指す場合、法科大学院の内容はさまざまであることを知っておく必要があるでしょう。

  • ※志願者数・入学者数等の推移(平成16年度~平成28年度)
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/05/20/1370787_02.pdf
  • ※各法科大学院の平成28年入学者選抜実施状況等
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/05/20/1370787_03.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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