インターンシップを単位認定する大学、初めて7割超える

文部科学省の調査によると、2014(平成26)年度に大学生などが企業などで就業体験をする「インターンシップ」を学校の単位として認定している大学は566校に上り、初めて7割を超えました。文科省はインターンシップについて、学生の学習意欲喚起や将来設計を考える機会になると説明しており、インターンシップをさらに推進するため、「インターンシップガイド(仮称)」を作成することにしています。

  • ※「平成26年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/internship/1368427.htm

調査は2015(平成27)年8~9月、大学776校、短大346校、高専57校を対象に実施し、うち98.5%から回答を得ました。このうち大学(学部・大学院)の状況を見ると、インターンシップを実施している大学は、前年度より10校増の740校(95.4%)となっています。現在ではほとんどの大学がインターンシップを行っているといってよいでしょう。この中で、教育実習や看護実習など、特定の資格取得のための就業体験を除いて、民間企業などでのインターンシップの活動を単位として認定している大学は、前年度より24校増の566校(72.9%)となり、初めて大学全体の7割を超えました。単位認定している大学を設置者別に見ると、国立77校(89.5%)、公立50校(58.1%)、私立439校(72.7%)で、特に国立大学で積極的に単位認定する動きが進んでいるようです。

単位認定されたインターンシップ(学部)の中身を見ると、実施学年は3年生(61.2%)、時期は8月(38.1%)と9月(24.5%)の夏休み期間中が主流となっています。実施期間は「1週間から2週間未満」が44.1%、「2日から1週間未満」が29.4%、「2週間から3週間未満」が11.7%などで、認定単位数は「2単位」が61.3%、「1単位」が23.5%などとなっています。一方、単位認定は行っていないものの、キャリアセンターなどを通じてインターンシップ先を紹介・あっせんするなど、大学が関与する形でインターンシップを実施している大学は356校(45.9%)となっています。

このように、インターンシップを実施する大学は、着実に増えています。しかし、インターンシップを単位認定された学生数は、前年度より4,362人増の7万2,053人(2.6%)で、増えてはいるものの、大学生全体から見ると、少数にとどまっているのが実情のようです。また、単位認定はないものの、大学を通じてインターンシップをした学生は4万2,331人(1.5%)で、両者を合わせても、大学生全体の4%程度に過ぎません。実際には大学などを通さずに、直接企業などにインターンシップを申し込んでいる学生も多いと思われます。

ただ、インターンシップの教育効果を高めるためには、大学と企業などとの連携が欠かせません。このため文科省は、インターンシップに対する大学の組織的関与や単位認定を推進するため、インターンシップガイドに、実施の際の留意点や大学の体制づくりの事例などを集め、大学や企業などに配布する予定です。

これから大学に入る多くの子どもたちにとって、企業などでのインターンシップは、キャリア教育の一環として不可欠なものになるかもしれません。

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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