国立大学は横並びから個性化へ 約半数が学部再編などを計画‐斎藤剛史‐

国立大学は2016(平成28)年度から、各大学が3期目の「中期目標・計画」(2016・21<平成28・33>年度)に入ります。それに伴い、人文社会系学部などを中心とした学部・学科の再編などを、約半数の大学が計画しています。また、学部再編などのほかにも、多くの大学が教育・研究の在り方の見直しなどを進めています。2016(平成28)年度に多くの国立大学で学部再編が始まることは、以前の本コーナーでもお伝えしましたが、「中期目標・計画」が本格化する17(同29)年度以降、国立大学の改革にさらに拍車がかかることになりそうです。

国立大学は2004(平成16)年度に法人化されてから、6年ごとに各大学が「中期目標・計画」を策定し、その内容や実施状況に応じて、運営費交付金が文部科学省から配分される仕組みになっています。特に3期目の「中期目標・計画」からは、各国立大学が、「卓越した教育研究」タイプ(東京大学など16校)、「専門分野の優れた教育研究」タイプ(東京外国語大学など15校)、「地域貢献」タイプ(55校)の3タイプに機能分化されることになっており、それに沿った学部などの再編を、約半数の大学が計画しているのが大きな特徴です。

たとえば山形大学は、「人文社会系学部の教育研究組織の見直し」を2017(平成29)年度までに行う他、茨城大学も17(同29)年度に「人文学部」を「人文社会科学部(仮称)」に改組するとしています。横浜国立大学では、2017(平成29)年度に経済学部と経営学部のそれぞれの学科を統合する他、「都市科学部(仮称)」を設置する予定です。福井大学は、2016(平成28)年度から「国際地域学部」を創設して、地域創生に重点を置いた教育をすることにしています。また滋賀大学も「データサイエンス学部(仮称)」を設置し、経済学部との連携による文理融合型、地域とグローバルの両方に視点を据えた教育を目指す方針です。
神戸大学は、2017(平成29)年度に国際文化学部と発達科学部を再編統合して「国際人間科学部(仮称)」を設置。島根大学は、高齢化や過疎化などの地域社会の問題に対応するための「総合人間学部(仮称)」の創設を計画しています。

新学部の創設などには至らなくても、既存学部の学科構成を大幅に見直す計画を立てている大学も多くあります。全体的には、人文社会科学系学部は学部再編や新学部への移行が多く、理工系学部は学科再編などの計画が多いようです。
さらに、グローバル化に対応して、海外への留学機会の増加、外国人留学生の受け入れ増などを目標に掲げている大学が多くある他、教育の在り方についてもクオーター制(4学期制)の導入、専門教育との一貫性の重視、学習評価の見直しなど、さまざまな改革が各大学で計画されています。

これまで国立大学は、画一的でどこでも同じような教育が行われていた面もありますが、第3期の「中期目標・計画」の開始に伴い、各大学の特色化が大きく進むことになりそうです。国立大学を志望する生徒、その保護者などは、これから大きく変化していく国立大学の動きに注意していくことが必要でしょう。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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