仕事の半分が10年後になくなる!? だから必要な「資質・能力」‐斎藤剛史‐

新年を迎えるに当たり、少しばかり先の2030(平成42)年に思いをはせてみましょう。そこではロボットや人工知能などの分野の発達は目を見張るものがあり、自動運転による自動車も、もはや現実となっているに違いありません。そして、その時代を生きる現在の小学生たちは、どんな仕事に就いているのでしょうか。もしかしたら、現在ではまったく想像もできないような職業に就いているかもしれません。

シンクタンクの野村総合研究所は、「“2030年”から日本を考える、“今”から2030年の日本に備える。」の一環として行った研究で、10・20年以内に日本の労働者の約49%の仕事が、ロボットや人工知能の発達により代替できるようになるという結果をまとめました。単純労働はおろか、専門性などを必要とする職業も、機械がこなすようになる時代が来るというわけです。
機械などによって代替可能な職業として、IC生産オペレーター・一般事務員・医療事務員・受付係・駅務員・貸付係事務員・学校事務員など100の職種を挙げています。一方、人工知能などによって代替できない職業は、シナリオライター・社会福祉施設介護職員・教員・テレビタレント・図書編集者などで、「抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業」が残るとしています。

実は、このような研究は他にもあります。米国の研究者キャシー・デビッドソン氏は「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもの65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」という予測を2011(平成23)年に発表し、大きな注目を集めました。「そんな大げさな」と思う人もいるでしょうが、たとえば20年前にスマートフォンが普及し、パソコンと同じ性能を持つ情報端末機器を持ち歩く時代になると、どれだけの人が予想したでしょう。そんな時代を生きる子どもたちにとって、必要なのは単に知識・技能を覚えることではなく、習得した知識・技能をどう活用するかであり、多様な人々と協働して何かを成し遂げる能力なのです。

そして現在、文部科学省が進めている学習指導要領の改訂では、このような力が重視されています。これは知識などをどれだけ覚えるかという「コンテンツベース」の教育から、どんな資質・能力を育てるのかという「コンピテンシーベース」の教育への転換とも言われています。言い換えれば、知識・技能を活用するための論理的思考力・判断力・表現力などを重視することや、「何を教えるか」と同時に「どのように学ぶか」を中心に据えたアクティブ・ラーニングの導入にもつながります。

労働者の約半数が仕事を人工知能などに取って代わられるかもしれない時代、現在はない職業に多くの子どもが就くことになる時代を前に、ペーパーテストでよい点を取って、よい大学に入るという考え方では、もはや通用しないといえるでしょう。さて、現在の小学生たちは、どんな社会を生きていくことになるのでしょうか。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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