小中学校の35%が保育所や児童クラブと同居 進む「複合化」‐斎藤剛史‐

文部科学省の調査で、老人施設や保育所など他の施設と複合化した公立小中学校は、全体の約35%に上ることがわかりました。老朽化や学校の統廃合に伴う改築などで校舎など学校施設の複合化はこれからも増加することが見込まれます。子どもと教職員だけがいるという学校のイメージは、これから大きく変わるかもしれません。

調査は、学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議が、複合施設の報告書の一環としてまとめたものです。学校のプールや施設などを地域住民も利用できる「学校開放」はこれまでもありましたが、それとは異なり、学校と他の公共施設を一緒にするのが「複合化」です。
何らかの形で他の公共施設と複合化しているケースは、1万567校ありました。学校施設と複合化した公共施設(延べ数)を見ると、「放課後児童クラブ」が最も多く6,333校、次いで「地域防災用備蓄倉庫」が5,553校、「公民館等」が443校などとなっています。子どもたちがそのまま学童保育として学校に残ったり、防災対策や地域の集会所などとして利用されたりしている例が多いようです。

それだけではありません。「保育所」(112校)、「老人デイサービスセンター等」(111校)、地域の「体育館等」(110校)、「図書館」(45校)など、多様な施設との複合化が進んでいます。このような施設では、地域向けの一般図書館を大人と子どもが共同で利用したり、保育所の幼児やデイサービスの高齢者と学校の子どもたちが交流したりするなど、多様な取り組みが行われています。
現在の学校の施設などは、築25年以上たったものが約7割を占めており、老朽化という問題を抱えていることは以前にもお伝えしました。しかし、同じような問題を抱えているのは他の公共施設も同様です。また、地域の人口減少などで公共施設の再編などを迫られており、これも少子化による統廃合問題を抱えた学校と同じような状況です。

文科省は、地方自治体の財政事情を考慮して、学校施設の建て替えよりも建物を補強・改修して長く使う「長寿命化」を打ち出していますが、それと同時に他の公共施設との「複合化」を進めようとしています。学校と他の公共施設を複合化すれば、保育所や高齢者施設などを利用する人々と子どもたちが交流したり、学校と社会教育施設を合わせることで地域のコミュニティー形成にも役立ったりすることが期待されます。
また報告書には、音楽ホールなど文化センターと学校を合わせたり、一般図書館と学校を複合化して豊富な図書を授業などで活用したりしている例などの他、一般用体育館を活用して部活動などを行うといった事例が紹介されています。ただし複合化にあっては、学校と他施設の出入り口を別々にすること、施設間の騒音対策、防犯面での工夫なども必要となってきます。

いずれにしろ、「地域とともにある学校」が提唱されるなか、学校は子どもと教職員だけが使うという姿は、過去のものとなるかもしれません。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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