ストップ「小1プロブレム」 幼小連携は今後どうなる?
小学校に入学した際にさまざまな問題が発生する「小1プロブレム」を防止するため、幼稚園と小学校を円滑に接続するスタートカリキュラムの作成など幼小連携の重要性が増している。しかし、実際には小学校と教育課程に関して連携した幼稚園は、約5割にとどまっていることが、文部科学省の「幼児教育実態調査」でわかった。ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に、その背景について解説してもらった。
調査によると、小学校におけるスタートカリキュラムを踏まえた幼稚園での指導計画作成や小学校との情報交換など、教育課程編成に関する連携を実施した幼稚園は54.8%(公立69.6%、私立46.3%)でした。前年度と比べると5.5ポイントの増加で、初めて5割を超えました。しかし、幼小連携の重要性が叫ばれるようになってから久しいことを考えれば、最も重要である教育課程の編成に関連した幼稚園と小学校の連携は、あまり進んでいないとも言えそうです。
幼小連携があまり進まない原因の一つが、私立幼稚園と公立小学校の間にある「壁」です。文科省の調査結果を見ると、公立幼稚園の9割以上が小学校との交流事業や教員同士の交流活動を実施しているのに比べて、私立幼稚園は約6割程度と少なくなっています。私立幼稚園と公立小学校の間の壁を崩して連携を増やせれば、幼小連携が大きく進展することが可能でしょう。
なぜ、私立幼稚園と公立小学校の連携が進まないのでしょうか。一つには、私立幼稚園はスクールバスなどを利用して広い地域から子どもたちを集めるところが多いため、学区の子どもを対象とする公立小学校とは、あまり関係が深くないことが挙げられます。
また、それ以上に問題なのは、市町村の対応のようです。行政組織の問題として、公立と私立の幼稚園がある市町村のうち、教育委員会が私立幼稚園を所管しているのは29.4%、私立幼稚園のみしかない市町村のうち、教育委員会が窓口となっているのは42.0%でした。後は首長部局が所管しているか、所管窓口自体がないという状況です。幼小連携を推進するためには、市町村教育委員会が私立幼稚園などに、積極的に連携を働き掛けていくことが不可欠といえそうです。
出典:幼稚園と小学校のカリキュラム連携、いまだ5割にとどまる -ベネッセ教育情報サイト