親子の会話で「勉強がつまらない」から「おもしろい」に変わる!
「こうすれば、たちまち勉強が好きになる」という魔法の言葉は、残念ながらありません。しかし、保護者が勉強に対する前向きなメッセージを送り続けることで、お子さまは学びの楽しさを実感しやすくなります。お子さまとの会話の中で上手に言葉を選んで、勉強に対する興味・関心を徐々に高めていきましょう。
子どもは最初から勉強嫌いだったわけではない
もともと子どもは好奇心のかたまりですから、何かを知ったり学んだりするのが大好き。特に興味・関心のあることには驚くほどの集中力を発揮しますよね。「ゲームやテレビに対する集中力が勉強にも向いてくれたら…」と願う保護者のかたも多いでしょう。
しかし、お子さまが勉強嫌いで困っているかたも、小学校に入学したばかりの時期を思い出してみてください。翌日の授業に備えてうれしそうに教科書をランドセルに詰めたり、その日に学んだことを話してくれたりしたことがあったのでは。その頃はお子さまの中で、勉強が興味・関心の範囲内だったのでしょう。現在、勉強に対してネガティブなイメージをもっているとしたら、どこかでつまずいたり、友だちよりもできないことが悔しかったり、何らかの原因があって興味・関心の範囲から外れてしまったと考えられます。
個人差はありますが、もともと子どもは勉強に対してポジティブな気持ちをもっているのです。そこで親子の会話を通して、学びのおもしろさに改めて気付かせてあげましょう。
保護者が「勉強はつまらない」「つらいもの」と認めてしまうのはNG
例えば、お子さまから「勉強はつまらない」「つらい」といった発言が聞かれたら、どのように返すでしょうか。「つまらなくても、やらなきゃだめだよ」「大人になってから困るよ」といった言葉は、確かにその通り。勉強も、大人になってからの仕事も、楽しいことばかりではありません。しかし、保護者がこうした言葉によって「勉強はつまらないもの」と暗に認めてしまうと、子どもの勉強に対するネガティブなイメージはますます強化されてしまいます。すると、勉強をしていても「いやいややっている」という気持ちがつきまとい、効率は高まりません。次のような言葉で、学ぶことの楽しさを思い出せるように促しましょう。
「あなたが、3歳のときに『1、2、3…』と数えられるようになったり、4歳のときに『あいうえお』が書けるようになったりしたとき、すごくうれしそうにしていたよ。小学校の勉強はそれよりも難しいから、いつも楽しいわけではないかもしれないけど、もともと学ぶのは楽しいという気持ちを忘れないでね」
「あなたは昆虫が好きだから、虫について調べるときはいきいきとしているよね。それと同じで、算数の問題が解けたときはうれしいし、テストの点数が良かったときは『やったー!』で思うでしょう。もともと何かを知ったり学んだりするのは楽しいことで、それが勉強することの意味なんだよ」
できるだけ本人が身近に感じられる話題から勉強につなげると、実感しやすくなるでしょう。とはいえ、こうした言葉をかけても、「そうだね。勉強は楽しいよね」と、すぐに勉強好きになるとは考えられません。しかし、それで良いのです。勉強に対する前向きなメッセージを送り続けていれば、苦手と思っていた問題が解けたとき、上手に発表ができたとき、テストで少し良い点が取れたときなど、「ああ、お母さんが言っていたことは本当だ」と思い出して学びの楽しさを実感してくれるはずです。こうしたポジティブなイメージは、難しい問題に粘り強く取り組んだり、苦手な科目を克服しようとしたりするときの支えとなるでしょう。
保護者自身も学びを楽しもう!
お子さまに学びの楽しさを感じてもらうためには、大人自身が楽しそうに学んでいることも欠かせません。日常的に読書をしたり、生活の向上につながる知識や技術を身につけたり、資格の勉強をしたり…といった姿勢を見せることで、お子さまも学びに対して前向きな気持ちをもちやすくなるはずです。
もしもだれも見ていないのにテレビをつけっぱなしにしている時間があったら、スイッチを切って、まず保護者が本や新聞などを静かに読むようにしてみませんか。落ち着いた雰囲気の中で、お子さまも静かに机に向かいやすくなるでしょう。