国立大学の授業料が上がる? その理由とは

国立大学の授業料が上がる? その理由とは年末に向けた政府の来年度予算編成における教育分野の焦点のひとつが、国から国立大学に毎年渡される「運営費交付金」だ。財務省が年1%の削減方針を提案したのに対して、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、財務省の提案通りにしたら授業料の大幅な引き上げにつながりかねない、と反論している。この点について、ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

 

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財務省が財政相の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会に提出した資料によると、国立大学法人の収入(附属病院収入を除く)は現在、3分の2が国からの支出に依存しています。独自財源である授業料収入は14.7%と、7分の1程度にすぎません。
「国立なんだから、当たり前だろう」と思うかもしれませんが、国立大学は2004(平成16)年に各大学が「国立大学法人」となったことを契機に、これまでの国直轄の予算という形を改め、基盤的経費として運営費交付金を交付する一方、「経営努力」 で経費を削減したり、自己資金を調達したりすることも可能となっています。
私立大学の場合、収入に占める学生納付金の割合が76.9%と4分の3を占めており、国からの補助金(私学助成など)は10.9%にすぎません。国立大学も法人化されたのだから、せめて運営費交付金と自己収入を同じ割合(約42%)にしよう。そのためには運営費交付金を毎年1%ずつ減額すると同時に、自己収入を毎年1.6%増加させよう--というのが財務省の提案で、それには「授業料の引き上げなど交付金以外の自己収入を確保する努力」が必要だというのです。
今でも国立大学法人は、その授業料を、国が定める標準額(現在は53万5800円)に上限120%の範囲で増額したり、減額(下限なし)したりできるのですが、実際に学部段階で標準額を増減している大学はありません。もし財務省の提案通りになったら、自己資金を得にくい大学を中心に、増額せざるを得ない大学が続出することでしょう。
しかし、大学生の家庭の年収は近年、500〜900万円の中間所得層が減少する一方、500万円未満の低所得層が4人に1人にまで増加しています。教育費負担の在り方も含めて、運営費交付金の問題を考える必要があるでしょう。

 

出典:国立大学の「運営費交付金」削減で授業料が高騰!? -ベネッセ教育情報サイト

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