「太陽の花」とも呼ばれるきんせんかを眺めて、元気をもらいましょう!
黄色やオレンジの花が美しい「きんせんか」。丈夫で育てやすいことから、花壇やコンテナなどに広く利用され、庭や畑の彩りとして重宝されています。
花期の長さが特徴的な、黄金色の美しい花
「金盞花」の名前の由来は、花が黄金色で「盞(さかずき)」のような形をしているところから。
また、統一前の中国に存在した「梁(りょう)」という国の魚弘(ぎょこう)という人物が、賭けすごろくに勝ったときに、「金銭よりも珍しくて美しい花が欲しい」と、この花をもらったことから「金銭花」と呼ばれるようになった…なんておもしろい説もあるそうです。
日本には江戸時代の末に、中国から渡来したといわれていますが、きんせんかの別名「長春花」が室町時代の書物に掲載されていることから、江戸時代より前に渡来していたともいわれます。「長春花」は、花が数ヵ月にわたって咲くことからついた名前で、「時知らず」とも呼ばれるほど。花は毎日、人間の生活と同じように、日の出とともに開いて夜には閉じます。
ギリシャ神話に描かれた、きんせんかにまつわる悲しい恋の物語
日本では仏花としても馴染みが強く、実際の花言葉も「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」など、悲しい感情を連想させるものが多いようですが、これらの花言葉は、きんせんかに関するギリシャ神話に由来するともいわれます。
古代のシシリー島に、クリムノンという美青年が住んでいました。彼は幼い頃から太陽神アポロンを尊敬しており、成長してからは恋心を抱くようになりました。そしてアポロンもまた、クリムノンの気持ちを受け入れ、2人は幸せに暮らしていました。
しかし、そんな深い絆で結ばれた2人を妬んだのが雲の神。厚い雲を広げて空一面を覆い、アポロンの輝きがクリムノンに届かないよう、8日間も遮り続けてしまったのです。9日目にアポロンがようやく雲を押しのけたとき、自らの光で照らしたのは、アポロンを待ち焦がれて悲しみに耐えられず死んでしまったクリムノンの姿…。悲しみに暮れたアポロンは、クリムノンを哀れに思い、彼を太陽の輝く姿に似たきんせんかの花に変えてやったそうです。
この伝説から、きんせんかには「太陽の花」という別名もあるのです。
花言葉や神話には悲しいものも多いですが、きんせんかの花の鮮やかな黄色やオレンジのビタミンカラーには、見ている人を元気にする効果があります。また、原産地である南ヨーロッパでは古くから薬用や食用として栽培され、現在でもハーブやアロマの精油などに利用されています。いつでも身近に置いて、そのパワーを分けてもらいたい花ですね。