改めて学びたい、お年寄りとの接し方【後編】

敬老の日が近づいてきて、お子さまが同居していない祖父母のかたに会う機会があるかもしれません。普段、あまりお年寄りと接することがない場合、とまどうこともあるでしょう。前編は、お年寄りの体や精神的な変化について、看護師で介護支援専門員の寺田敦子さんにお聞きしました。後編では、実際におじいちゃん・おばあちゃんと過ごす際のポイントについて、教えてもらいます。



保護者がお年寄りを大切にする気持ちを行動で見せる

お子さまとお年寄りは免疫力が十分でなく、ともに感染症などにかかりやすい存在です。おじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行ったり、一緒に過ごしたりする際にはまず、お互いに手洗い・うがいをして予防に努めましょう。

保護者のかたにとっては、自分の両親ですから、おじいちゃん・おばあちゃんとけんかになることもあるかもしれません。しかし、お子さまの前ではなるべく控えたいもの。孫にとって祖父母は保護者のかたとは違い、少し遠い存在であることが多いです。保護者のかたの世代がお年寄りとの接し方を伝えていけるとよいでしょう。たとえば、椅子をひいてあげたり、重いものを持ってあげたり、簡単なことで大丈夫。人生の先輩として敬う気持ちを実際に行動で示すことによって、お子さまにもお年寄りを大切にする気持ちが芽生えます。



祖父母の生活リズムで暮らす新鮮な体験

祖父母と孫が同居している場合は、成長の過程を常に見守ることができますが、核家族化が進む現代では、いつも一緒に過ごすことはなかなか珍しいかもしれません。

おじいちゃん・おばあちゃんは孫が訪ねてきてくれる日をとても楽しみにしている一方で、パワフルなお子さまと過ごすと、疲れが出てしまったり、お別れするのが寂しくなってしまったりすることがあります。疲れの要因のひとつには、孫が遊びに来ることで、生活リズムが変化することが挙げられます。
たとえば、普段は朝4時には起きて、のんびり時間を過ごしている祖父母も、孫が来ている時には気を使って、目がさめてしまったにもかかわらず、なんとか朝6時まで布団に入っている……ということも。

そこで、祖父母の家に遊びに行く際は、お孫さんがおじいちゃん・おばあちゃんと同じタイムテーブルで生活してみるのはどうでしょうか。朝4時に起きて体操をしたり、犬の散歩に行ったりすることから1日をスタートさせ、夕方、夕食の前に早々にお風呂に入るという生活は普段あまりしないもの。お子さまも新鮮な体験ができますし、おじいちゃん・おばあちゃんもきっと喜んでくれるでしょう。



お出かけの際の注意点

お出かけの際に注意してほしいのは、お孫さんとのお出かけは楽しい反面、責任感から緊張もしているということです。自分のお子さまなら、保護者のかたの責任としてなんとでもなることも、祖父母にとっての孫は娘・息子の大事なお子さまです。「ケガなどあったら孫のみならず、娘・息子にも可哀想な思いをさせてしまう」と二重に責任を感じています。
ですから、お孫さんは、おじいちゃん・おばあちゃんの歩くスピードに合わせて、ゆっくり歩いてあげてください。緊張状態で、手をぐいぐい引っ張られてしまうと、それだけでバランスが取れなくなってしまい、転倒の恐れがあります。手をつなぐ時は指を引っ張るのではなく、手のひらをちゃんと合わせると安全です。

また、信号を見る時も、おじいちゃん・おばあちゃんはお子さまと違って、急には反応できません。青になったからといって急に飛び出すと、驚いてしまい、ケガの原因になることもあります。前編でも説明した、「年を重ねると、体が思うように動かなくなる」ということを、ご家庭でお話ししておくとよいでしょう。

お年寄りを大切にしたいという気持ちは、行動で示してこそ伝わるもの。おじいちゃん・おばあちゃんの気持ちに寄り添って、幅広い世代で安全に楽しく過ごせるとよいですね。


プロフィール

寺田敦子

寺田敦子

ベネッセシニアサポート主任相談員。看護師・介護支援専門員。慶応義塾大学病院看護師、介護老人保健施設「うなね杏霞苑」、伸こう会などを経てベネッセスタイルケアの職員に。認知症ケアセミナーや、介護の医療知識セミナーの講師も務める。

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