デング熱から子どもを守る【後編】

神奈川県立こども医療センターの馬場直子先生にデング熱や蚊対策について教えてもらいます。





Q1 デング熱に効く特効薬はありますか?

デング熱の治療は基本的に対症療法となるため、特効薬はありません。熱がある場合には解熱剤を、発疹が出た場合は塗り薬を、出血傾向が現れた場合は血小板輸血などを……と、医師が症状を診断して必要な処置を施します。
解熱剤には、デング熱に効くタイプのものとそうでないものがあるため、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。



Q2 「デング熱かも?」と思ったら皮膚科と内科(小児科)どちらに行くべきですか?

発熱の症状がある場合は内科に、発疹が出た場合は皮膚科に行きましょう。もちろん、子どもの場合は小児科でも問題ありません。内科にかかった場合も、経過を見て発疹が出た場合は採血をして、血液検査をしてもらえます。



Q3 一度デング熱にかかったら免疫がつきますか?

デング熱にはウイルスの型が4種類あるため、違う型にかかった場合は再度発症します。同じ型の場合、数年間は免疫がつきますが、しばらくたつと免疫はなくなってしまいます。はしかのように、一度かかったらもう大丈夫というわけではないので、その点は注意が必要です。



Q4 デングウイルスを持っている蚊を、手で潰しても大丈夫?

大丈夫です。血液の中に入らなければ感染はしないので、刺されなければ問題はありません。ただ、潰した場所に傷があった場合には、その傷からウイルスが入ることもあります。また、蚊を見つけて潰しても、既に刺されている場合もあるでしょう。



Q5 海外旅行に行く際、特別な対策は必要ですか?

地域にもよりますが、熱帯・亜熱帯の国に行く場合は特に気を付けましょう。熱帯・亜熱帯はデング熱だけでなくマラリアなど、蚊の媒介する病気が多い地域です。前編でも紹介したように子どもは大人よりも新陳代謝が活発なため、蚊に刺されやすいもの。ですから、蚊に刺されないための対策をこまめに行ってください。
また、デング熱は潜伏期間が2~5日あるため、日本に帰ってきたあとに発症することもあります。発熱・発疹・頭痛といった症状が出た場合はデング熱の可能性があるといえます。



Q6生活のなかで、特に注意する場所はありますか?

日本の場合、蚊はどこにでもいるため、地域や住環境によって刺される可能性に違いはありません。旅行者を通じて持ち込まれたことから、観光客が多い場所に注意を向けがちですが、アスファルトの多い都市部でも、森林が多い地方でも等しく注意が必要です。
特に子どもが刺されやすいのがプールです。プールの中に蚊がいるわけではありませんが、排水溝の水たまりなどは蚊が集まってきます。プールの中にいる時は刺されませんが、プールから上がった時は肌の露出が多く、虫よけが取れてしまっていることも。プールから出てその近くにしばらくいる場合は、服を着せたり、虫よけシールを貼ったりして、蚊に刺されないよう対策をしましょう。

夏に蚊に刺されるのは当然のことなので、必要以上におびえたり、神経質になったりするのは避けたいもの。とはいえ、蚊に刺されてよいことはありませんから普段から刺されないように大人も子どももこまめなケアを心がけ、万が一デング熱にかかってしまった時には適切な行動ができるようにしておけるとよいですね。

プロフィール


馬場直子

神奈川県立こども医療センター皮膚科部長。滋賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部皮膚科、横須賀共済病院皮膚科勤務などを経て1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長。2002年から現職。横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任。

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