【世界の中学生~アメリカ(9)~】大学進学、日本とどう違うの?

世界各国の中学生の仲間のリアルな姿を探るシリーズ。ここまで、アメリカの中学生(13歳)のオリビアさんの生活についてお届けしてきましたが、最後に、現代のアメリカの教育について、あらためて見てみたいと思います。


「勉強ができる=大学に入学できる」ではないアメリカ

 アメリカと日本の大学受験は、大きく異なるところがあります。それは、アメリカの場合、日本のようにいわゆるテストだけで合格が決まるわけではないということ。勉強で成績が良くても、それだけではトップの大学に入れるという保証はありません。ただ、スポーツなどでも大学に入る道があるので、少々成績が悪くてもそれほど気にしていない親が多いようです。大学の種類やレベルも多いため、平均的に勉強していれば、大学と名のつくところには入れる、と楽観視をしている親がアメリカでは多くいます。また、学校以外のところで子どもに勉強をさせるのは一般的ではなく、よほど子どもの成績が悪く、かつ余分に費用をかける余裕のある家庭などがほとんどのようです。

 

勉強だけでなく、音楽などの習い事にも力を入れているオリビアさん。彼女の生活は、成績の良し悪しだけを必ずしも重視していない、アメリカの教育事情によるものなのかもしれませんね。

 

 

大学進学を望むかどうかは、親によってさまざま

 オリビアさんの両親が、彼女に大学を卒業すること強く望んでいたように、アメリカでは、両親が大学を卒業している場合、子どもたちにもそのように期待する割合が圧倒的に高いといいます。一方で、親が高校を卒業していない家庭では、大学に入ることを望む率(高校を卒業することさえあまり期待していない)が極めて少ない。親の学歴によって、子どもに対する期待値が大きく異なるようです。

 

これは、極端な例でもあるのですが、近年増加している、アジアからの移民系の家庭には、80年代の日本に存在していた「エリート」志向があるのだとか。たとえば、学校の成績は完璧であることや、選抜のクラスに入れること、アイビー・リーグ(ハーバード大やコロンビア大など、アメリカ北東部の名門大学8校)に入学させることを最大の成功だと思う傾向があります。そのため、自分の子どもに必死でスポーツや音楽、勉強をさせている家庭があります。もともと暮らしていた国では「一番になれば成功する」という考え方が強い。彼らは、アメリカにおけるマイノリティとしてのハンデを克服すべく、2世代目の子どもたちに夢を託しているのです。

 

アメリカの中学生、オリビアさんを通して、アメリカの学校事情、教育事情などをいろいろ見てきましたが、いかがでしたでしょうか? 日本と似たところ、大きく異なるところなど、いろいろありましたね!

 

次回は、どこの国の仲間が登場してくれるのでしょうか? どうぞ、お楽しみに!

 

 

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