アートを見れば言語力も発達 この夏休みに子どもと美術館へ行こう

アートを見れば言語力も発達 この夏休みに子どもと美術館へ行こう「子どものうちに本物のアートに触れさせるとよい」と言われている。夏休みは親子で美術館を訪れるよい機会だろう。そこで、ベネッセ教育情報サイトでは、8歳の子どもの母親でもある東京都美術館学芸員の稲庭彩和子氏に、子どもと行く美術館で学べることについて聞いた。

 

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美術館は「料理本」と似ています。繰り返し作るレシピが1、2品だったりするように、美術鑑賞でも印象に残る作品が1、2点あれば十分。モトをとろうなどと考えず、子どものペースに寄り添ってあげてください。知っておいてほしいのは、美術館にあるのは「みんなが大切にしているもの」だということ。子どもがはしゃぎすぎてしまうようなら、「ふだんの半分の声でお話ししようね」と伝えてあげましょう。

 

保護者のかたも、できるだけ感じたことをそのまま言葉にしてください。そうすると、子どもも「言いたいことを言っていいんだ」と安心できます。子どもは言葉だけのコミュニケーションより、「もの」を介したコミュニケーションが得意です。アートという「もの」を目の前にして、自分の気持ちの針が動いたとき、それを言葉にすることで、言語力も発達していきます。子どもとゲーム感覚で作品を見るのも楽しいですね。大人が「ほんとだ!」「なるほどね」と聞いてあげると、子どもは自分の見方に自信が付いてきます。ものをよく見る体験を積み重ねて、観察力も、想像力も高まります。

 

美術館は、作り手と見る側のエネルギーが交錯するところです。見知らぬアーティストの作品に共感することもあれば、何千年も昔に作られた作品が、今、自分の目の前にある不思議さを感じることもあります。子どものうちに、自分の感覚で「何が好きか」を選んでよいのだと信じられる素地を作ることは、心の健康のためにも非常に大切なことだと思います。学校でもなく、家庭でもない「遊び場」として、ぜひ美術館を活用してください。

 

出典:美術館デビューのススメ 当日編 -ベネッセ教育情報サイト

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