子どもの美術館デビューはいつがベスト? 「30分集中できる」がめやすと専門家
夏休みのお出かけ先の選択肢として、美術館はいかがだろう。しかし、自分自身が行き慣れていないし、子どもが興味を持つかどうかも不安だという保護者も多いかもしれない。ベネッセ教育情報サイトでは、子どもの美術館デビューを応援するプログラムに携わる東京都美術館学芸員の稲庭彩和子氏に、子どもと行く美術館の楽しみ方について伺った。
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美術館に展示されている「もの」に共通しているのは、大切にされている<たからもの>だということ。美術館のよさは、<たからもの>に対して、どう感じてもいいということで、「正解の見方」というのはありません。大人が「これは名画だから」と、第一印象を自分で修正してしまいがちな一方、子どもは裸婦を見れば「なんで裸なの?」と口にし、違和感を表明できます。子どもは自分の目線から絵を眺め、細かいことにもよく気付き、想像力を働かせますから、一緒に楽しんでください。子どもと過ごす美術館での時間は、子どもが見て気が付いたこと、想像したことに耳を傾け、親と子がまなざしを共有する機会なのです。
大切されているものを前にして、自分の発言が尊重されるということは、自分もその大切にされているものに関わりながら肯定されるという、一種の成功体験となり、子どもの肯定感を育むことにもなります。心の動きを言語化して言葉にするのを少しサポートしてあげると、自分は何が好きなのか気付きますし、自信を持って主体的に「考える力」や「判断する力」が付きます。
「連れて行ってもすぐ飽きてしまうのでは」と心配する方も多いと思います。デビューのめやすは、30分ほど集中できるようになる4歳くらいから。小学生になれば親子で充分楽しめるようになります。3、4年生になると、思ったことを伝える言語力が発達してくるので、この頃までに何度か美術館に出かけられるといいですね。
出典:美術館デビューのススメ 計画編 -ベネッセ教育情報サイト