脳をつくる読書のススメ【後編】読書のために家庭でできること

読書の重要性は誰もが認めることだと思います。東京大学の酒井邦嘉教授に、家庭で子どもに読書をすすめるためのポイントを伺います。




子ども専用の本棚を置く

読んだ本をしまい、成長の記録を残していく場所をつくりましょう。きちんとしまっておけば、もう一度思い出して、このことはあの本に書いてあったと、あとで読み返すことができます。同じ本でも2回目に読んだ時、3回目に読んだ時とで、新たな発見や気付きがあるでしょう。いつも目に付き、手を伸ばせるところに本があること、それが大切です。



本物にたくさん触れる

子どもが関心を示すならば、「まだ難しいかな」と親が勝手に判断したりせず、子ども向けに書き直してはいないオリジナルの本を選びましょう。出てくる言葉が難しければ、辞書で調べながら読めばよいですし、親子で話しながら読むのもよいでしょう。繰り返し読むうちに、子どもなりに理解をしていくようになります。

子どもの脳は、外界からの刺激をそのまま吸収する柔軟性を持っています。「門前の小僧習わぬ経を読む」というように、繰り返し見聞きした情報は、脳が重要な情報だと判断して自動的に覚えます。特に、小学生の間は、脳が急激に発達し、外界を最も自然に吸収できる時期であることが、脳科学の研究でわかっています。読書に限らず、芸術でもスポーツでも、本物にたくさん触れるのがベストでしょう。子どもは見えないルールを次々と吸収して、親が驚くほど伸びていくものです。



親子で書店に行く

お子さまと一緒に書店に行っていますか。インターネットで購入する人が増えましたが、お子さまと書店に行き、たくさん並んでいる本の中から、気になる本を選んでみましょう。本を選ぶ時には、この総覧性が大切で、インターネットの比ではありません。ざっと見ているだけでも、気になる言葉が目に飛び込んできます。漠然と見ているようで、脳が自分の気になるキーワードを探しているからです。読みたい本がわからないというお子さまでも、この方法ならぴったりの本を見つけられると思います。



感想文を書く

字を書けるようになったら、本を読んだあとに感想文を書くとよいでしょう。感じたことを書き記すことで、記憶がより定着します。さらに、その感想文は、必ず保護者が読んであげてください。人に読んでもらうことを前提にすると、しっかり考えて書かなければなりませんし、文字も丁寧に書こうとします。そうしたことも考える力を助けるのです。



読み聞かせの時間を大切に

読書の導入として、読み聞かせは非常に大切です。絵本は、小さな子どもでも集中力が続くページ数になっていて、言葉で理解しにくい部分は絵で補い、小さな子どもでも想像力を働かせられるような適度な情報量になっています。
私は『ことばの冒険』『こころの冒険』『脳の冒険』という3冊の絵本を手掛けましたが、読み聞かせをした人の話を聞くと、子どもたちは、この3冊の関連性に気付いていて、「こことあそこは似ている」「こことあそこは違う」など、実によく覚えているそうです。文字を読めなくても、絵本は想像する力、考える力を育むことができる最高のメディアです。

読み聞かせ用の動画もありますが、そこには双方向の交流がありませんから、子どものペースで進めることはできません。また、アニメなどでは情報量が多すぎて、想像する余地があまりありません。ぜひ、絵本の読み聞かせをして、子どもの反応を見て繰り返し読み、物語の世界を一緒に楽しみましょう。

読書は子どもの心と言葉を育みます。ぜひ、お子さまと一緒に読書の喜びや楽しみを体験していただければと思います。

『考える教室』『考える教室』
<株式会社実業之日本社/酒井邦嘉/1296円=税込>

プロフィール


酒井邦嘉

東京大学大学院総合文化研究科教授。理学博士。専門は、言語脳科学および脳機能イメージング。人間にしかない言語や創造的な能力の解明に取り組んでいる。

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