子どものスマホ、統一ルールつくる自治体が広がる

スマートフォン(スマホ)が子どもたちの間でも普及したことにより、ネット依存、ゲームをしすぎること、課金トラブル、そしてLINE(ライン)などに絡んだネットいじめの深刻化と、さまざまな問題が発生しています。これに対して、地方自治体などがルールを策定し、子どものスマホの使用を制限したりする動きが全国で広がりつつあります。しかし、自治体による統一ルールには賛否両論があるようです。

これまでも携帯電話などを中心に学校への持ち込み禁止をルール化する動きはありましたが、自治体による統一ルールの策定が注目を集めたのは、2014(平成26)年3月に愛知県刈谷市が小中学生の家庭を対象に子どものスマホなどを「夜9時以降は保護者が預かる」よう要請したことが全国的な話題になったことがきっかけです。夜9時以降の使用禁止というダイレクトな呼びかけが、反響を呼んだ大きな理由のようです。その後、マスコミの報道によると、福島県白河市宇都宮市東京都台東区・岐阜県関市・愛知県豊田市・広島市・愛媛県大洲市・徳島県藍住町・福岡県春日市・福岡市・北九州市などが次々と何らかの形で統一ルールを策定しています。また、都道府県として取り組む自治体も出始めました。静岡県や岡山県はPTA団体などからの要請を受けて、小中学生のスマホの夜9時以降の使用制限に取り組んでいるほか、香川県は「さぬきっ子の約束」、福井県は「ふくいスマートルール」という統一ルールをつくっています。

これらのうち広島市は、小中学生を対象に「10(テン)オフ運動」(午後9時以降は送信しない。遅くとも10時までには電源を切る)を展開しています。また東京都台東区は、「児童が守る4つの約束」として、(1) 夜10時以降は、携帯電話やスマートフォンは保護者に預ける (2) 名前やメールアドレス及び個人が特定できる写真を公開しない (3) 自分が言われて嫌だと思うことは書かない (4) 困ったことがあったら必ず保護者や先生に相談する……を掲げているほか、保護者には子どものスマホの使用状況を確認することなどを求めています。

一方、地方自治体による統一ルールに関しては、賛否両論があるようです。保護者の間では、子どものスマホ使用を制限する根拠ができたと歓迎する声が多く寄せられています。これに対して、これからの社会でスマホなどの情報端末機器を使いこなす能力は不可欠で、一律に禁止するだけでは問題の解決にならないという意見もあります。

しかし、ほとんどの統一ルールで、夜の使用禁止などだけでなく、保護者に子どものスマホの使用をきちんと管理すること、親子で使用ルールを話し合うことなどが強調されている点に注目する必要があると思われます。むしろ大切なのは、子どもの夜のスマホ使用を禁止したり制限したりすること自体ではなく、それを通じて子どものスマホの使用に保護者が関心を持ち、きちんと子どもと話し合うことでしょう。自治体による統一ルールは、スマホ問題をめぐる親子の会話のきっかけと受け止めるべきではないでしょうか。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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