技術だけでなく人格形成を目指す柔道 その意味と起源とは?

中学校の武道必修化にともない、柔道に触れる機会も増えました。柔道は畳の上で行う日本の伝統的な武道。どこでも気軽にできるものではありません。また、きちんと指導を受けたうえで基礎的な技などを体得しないとケガをする恐れがあります。ですが、柔道を習うことで日本の武道における伝統的な考え方を理解し、自己研鑽(じこけんさん)や、相手を尊重する気持ちなどさまざまなことを学ぶことができます。


技術だけでなく人格形成を目指す、柔道の「道」とその起源

 そもそも柔道は、国内外に多数の愛好者を有し、オリンピックの正式種目にもなっている、もっとも代表的な武道のひとつです。段位制を武道に導入したのも、初段以上を黒帯としたのも柔道が最初です。クロオビ(Balck Belt)は現在、英語圏でも通用する単語となっています。

 

 

相手を尊重する心が大事

 柔道でイメージするのはやはり相手を豪快に投げるシーンでしょう。もちろんそれも柔道ですが、本来、柔道とは心身の力をもっとも有効に使うためのものです。つまり、柔道において大切なことは、単に柔道の技術を修得するだけでなく、日常生活においても、心身を有効に使うことだとされています。

 

また、柔道を修得することにより、「柔(じゅう)よく剛(ごう)を制す」という言葉があるように、身体の小さな人でも、体格や力で勝る人を制することができるとされています。そして、柔道を行なうことにより、相手を尊重し、互いに協力し、助け合って、自分も相手も、ともに向上していくことが大切だともされています。

 

 

柔道の父「嘉納治五郎(かのうじごろう)」

 明治時代に柔術諸流派を学んだ嘉納治五郎によって講道館柔道として創始されました。嘉納治五郎が画期的だった点は、修行で得ようとするものを、単に戦う技法の「術」ではなく、人格形成を最終目標とする「道」としたところです。そして嘉納治五郎が柔道を実践していく上でまずかかげた標語が、「精力善用」と「自他共栄」でした。

 

「精力善用」とは「エネルギーを善く(有効に)働かせる」という意味です。柔道は、相手の動きを利用して自分の持つ力を有効に機能させ、より大きな力を生ませようとします。それは日々の生活にも当てはめることができます。ある力を発揮するときに、その力を、相手をねじ伏せたり、威圧したりすることだけに使わず、世の中の役に立つように活用すべきだということです。

 

また「自他共栄」とは「互いに信頼し、助け合うことができれば、自分も世の中の人も共に栄えることができる。」ということ。そういった精神を柔道で養い、自他共に栄える世の中を作ろうという理念です。柔道にはそのような人としての「道」を歩む想いが込められているのです。

 

 

プロフィール



「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。
役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。

子育て・教育Q&A