子育てに希望持てない20代独身 社会全体で解決必要

子育ての喜びと大変さは、保護者の方々が日々実感していらっしゃることでしょう。そして独身時代には、子育てにさまざまな不安があったのではないでしょうか。それは今の若者にも共通しますが、10年前に比べて子どもを持つことにますます尻込みしていることが、厚生労働省の調べで明らかになりました。深刻な少子化が人口減少・地域消滅など各方面で不安を広げるなか、今こそ子育て・教育の支援策を充実させることが急務のようです。

同省が21世紀に入ってから生まれた子どもを継続的に追いかけている「21世紀出生児縦断調査」については、当コーナーでも折に触れて紹介してきました。一方、同省は子どもだけでなく、2002(平成14)年と12(同24)年時点の若い成年者を対象に、子ども観や育児の状況などを継続的に調査しています。このほど、その最新結果(2013<平成25>年11月実施分)(外部のPDFにリンク)がまとまりました。

2002(平成14)年当時に20~34歳だった人は、31~45歳になっています。10年前に独身だった人が希望していた子どもの数と、現在の子どもの数を比較してみると、男女とも、希望する子どもの数が多いほど、実際に持つ子どもの数も増えていっています。10年前に既婚だった人も、6割前後が希望した子ども数を実現しており、たとえば「3人以上」を望んでいた男性の50.0%、女性の54.9%が、実際に3人以上の子どもを持っています。
また、この11年間で第2子以降の出産があったのは、夫の休日の家事・育児時間「なし」で11.9%にすぎなかったのに対して、2時間未満では29.0%、2~4時間では56.1%、4~6時間では72.1%、6時間以上では80.0%と、長くなるほど徐々に増えていきます。「イクメン」の増加は効果が大きいといえそうです。

しかし実際の子育てには、さまざまな悩みも伴います。育児ストレスはもとより、待機児童問題や教育費の高騰など、日々のニュースでも大きく取り上げられています。そうしたなかで、これから子どもを持とうかどうか考える若い人たちが、子育てに希望を持てなくなるのも、仕方がないかもしれません。実際、2012(平成24)年に20~29歳だった人たち(調査時点では21~30歳)に希望する子どもの数を聞いたところ、独身者では「0人」という回答が男性15.8%、女性11.6%と、02(同14)年の成年者(男性8.6%、女性7.2%)に比べ2桁に増えています。
一方、既婚者が望む子どもの数を見ると、「3人以上」が男性で31.4%から46.2%へ、女性で30.4%から47.4%へと、大幅に増えています。子どもが欲しいと思う独身者にたずねても、その理由で多かったのは「家族の結びつきが深まる」「子どもとのふれあいが楽しい」などでした。前向きな家族像を思い描けてこそ、結婚、そして子だくさんの家庭像が描けるようです。

少子化の要因には、未婚率の増加はもとより、晩婚化・晩産化の進行と、夫婦から生まれる子ども数の減少があるとされています。若い世代が子育てに希望を持てるようになるためにも、今の子育て世代が抱えている問題点を一つひとつ解消していく努力が必要です。単に「草食化」などと個人のせいにしてばかりでは、決して少子化の進行は食い止められないでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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