子どもの「強み」を伝えていますか?[やる気を引き出すコーチング]
時々、親子で参加できるコミュニケーション講座を開催しています。こういう講座に、お子さんのほうが積極的に参加することはほとんどなく、「なんだかよくわからないけれど、親が『いいから! 一緒に行こう』と言うので、とりあえず、連れてこられました」という小中学生、高校生がほとんどです。
最初は、見るからにテンションが低いです。身体を斜めに傾けて座っていますし、いぶかしげな表情です。ところが、講座の最後には、全員の前で、頬を紅潮させながら、「今日は来てよかったです!」と堂々と感想を発表して帰ります。その様子を見るにつけ、「やる気がない子なんていないんだなー」と毎回感じさせられます。
そんな講座の中で、日頃、私が感じていることを、今回はお伝えしたいと思います。
「強み」に気付けば、やる気スイッチが入る
斜めに座っていた子どもたちが、どんな時に、前を向いて座るようになるかというと、私の話をただ聴いている時ではなく、自分も「参加する」役割になった時です。初対面の大人とペアを組んで、「話す」「聴く」などのコミュニケーションをとり合う場面を折々につくります。「どうしてもやりたくない人には強制はしません」と言っているのですが、相手が決まると、どの子も意外とあっさり取り組んでくれます。見た目の印象よりも、ずっと上手にコミュニケーションをとっています。そのうち、どんどんリラックスして楽しそうに参加し始めます。
とりわけ、ペアを組んだ相手から、<自分の強み>を伝えてもらう演習の際には、たちまち、子どもたちのスイッチが入るのがわかります。恥ずかしそうにしていますが、とてもうれしそうです。
「こんなにほめられたのは生まれて初めてです! やる気がわきました」というお子さんのコメントに、一緒に参加されたお母さんは、思わず苦笑いという場面もあり、盛り上がります。短所や改善点を指摘されるのではなく、「そこがあなたの強みだよ」と言ってもらえることで、子どもがどれほど動機付けられるのか、その効果にはいつも驚かされます。
「アドバイス」ではなく、「強み」を伝える
一方で、お互いに強みを伝え合っている時に、少し気になることもあります。子どもは純粋に、「チャレンジ精神がある人だと思いました」「話すのが上手だと思います」と相手の強みを伝えているのに対して、大人のほうは、いつの間にか、相手へのアドバイスになっていることがあるのです。
「強みを伝えてあげてくださいね」と言っているのに、「それはとてもよいことだから、これからも続けたほうがいいと思うよ」「こうするともっといいんじゃないかと思うよ」など、アドバイスのような言葉をかける大人が意外に多いのです。どこかで、「相手は子どもなんだから、何か言って導いてあげないと」という気持ちになってしまうのでしょうか。アドバイスではなく、すばらしいと思った点をそのまま伝えてあげたほうが、本人にとっても、受け取りやすく、より心に響きます。
日頃からの観察が大切
子どもが話している様子を観察するだけでも、たくさんの強みを見出すことができます。「相手の目を見て話すことができるね」「自分の言葉で話せるね」「聴きとりやすい声だね」「気持ちが伝わる話し方ができるね」「姿勢がいいね」など、伝えてあげたいことがたくさんあります。話の中身にも、多くの資源が潜んでいます。「向上心があるんだね」「繊細なんだね」「自然に興味があるんだね」「将来のことを考えているんだね」「人に対して優しいんだね」など、本人にもぜひ自覚してもらいたい強みが満載です。
「もっとこうしたら」と言う以上に、「そこはあなたの強みだよ」と伝える機会がもっとあったら、子どもはおのずと前向きになれるはずです。そのためには、日頃から、肯定的な視点で、子どもを観察することが大切ではないかと思います。
『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』 <つげ書房新社/石川尚子(著)/1,620円=税込み> |
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