便利なスマホ、良い物?悪い物? 小学生編

電話だけでなく、ゲームやコミュニケーションといったさまざまなアプリケーションが使え、快適なインターネットブラウジングもでき、広く世に浸透しつつあるスマートフォン。一方で、全国の誰とでも連絡を取り合えてしまうことから、さまざまなトラブルや事件の発端となることも増えています。便利な半面、悪影響も懸念されるスマートフォンですが、実際の利用率はどのくらいなのでしょうか?


全国のスマホ・インターネット事情

 全国3000人の10歳から17歳までの青少年とその保護者を対象に行われた平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書を見ると、日本のスマートフォン・インターネット利用事情がよくわかります。

 

 

 平成25年度の小学生のスマートフォン所持率は、子ども向けスマートフォンを含めると16.3%。全体から見ると決して大きな数字ではないですが、これは前年度の7.6%のおよそ2倍を超えています。平成23年以前には、一人もスマートフォンを持っていなかったことを考えると、その普及率の高さに驚きます。この先もスマートフォンの所持率は増加していきそうです。

 


 インターネットの利用状況はどうでしょうか。平成25年度の小学生は44.3%と約半数が携帯電話もしくはスマートフォンでインターネットを利用していると回答しています。

昨年度の40.8%から微増ではあるものの、増加傾向に。

利用種別を見てみると、主なインターネット利用は調べ物やゲーム、音楽や動画などの閲覧がほとんど。さまざまな事件やトラブルの発端となるSNSなどやチャットなどでのコミュニケーションは2%を切っています。小学生も今や、勉強やさまざまな疑問の答えを探るのに有効なツールとしてインターネットを認識しているのかもしれません。

 



小学生にスマートフォンを持たせるときは約束事を決める

 スマートフォンを持たせるときに懸念されるのが、やはり利用時間。これは小学生だけの統計ではありませんが、全体でみると2時間以上の利用率が年々増加しており、平成25年度には39.8%にまでなっています。

その利用機種別の内訳をみると、スマートフォンが約半数。機種別の平均利用時間を見ても携帯電話は43.4分であるのに対し、スマートフォンは132.6分と約3倍。スマートフォンの普及が長時間化の一端となっていることがわかります。

 

インターネットがやりやすく、ゲームも楽しみやすいスマートフォンの機能と、小学生の利用方法が合致しているため、この先も普及していくことは必須といえるでしょう。

そうなると、インターネットを介した事件や事故に巻き込まれないための予防策や約束事が必要になってきます。

 

保護者ができる予防策

 

 保護者ができる予防策としては、有害なサイトから子どもを守ってくれるフィルタリングがあります。しかし、小学生のフィルタリング利用率は、平成25年度は、62.2%。前年度よりも14.3%減少しています。


 フィルタリングについては、「なんとなく知っている」という回答も含めると90%を超えており、認知度は高いようです。それでも利用がほぼ半数にとどまっているのは、フィルタリングについて学んでいる保護者が総数として57.5%にとどまっていることと関係がありそうです。学校側などで、もう少し啓蒙活動に力を入れる必要があるのではないでしょうか。
 


 しかし、実際のところは、フィルタリングをしなくても、小学生のうちは子どもも素直なため、保護者との間で作られた家庭のルールは認識の相違なく守られる傾向にあります。

 

結局のところ、スマートフォンは物でしかありません。利用の仕方によって善にも悪にもなります。調べ物をするためのツールとして認識している小学生になら、スマートフォンを買い与えることで、さまざまな教育用のアプリケーションやサービスを利用できるようにし、自発的な学習を促すことにつながることも。

 

利用で生まれてくるリスクが心配だとしても、経験も必要。迷惑メールが送られてくるといったトラブルや、よくわからないアプリケーションの使い方を親子一緒になって解決することがコミュニケーションになります。

フィルタリングの利用だけでなく、親と子でよく話し合い、お互いに納得できるルール作りをすることがお子さまの安全と安心につながっていくのではないでしょうか。

 

 


参考:

平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)

URL: http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h25/net-jittai/pdf/kekka.pdf

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