狩猟の仕事ってどんなことをする?

野生の鳥や動物を捕まえる狩猟の仕事ですが、実際、この仕事をする人は、どのような方法で動物をつかまえてお金を稼いでいたのでしょうか?狩猟をする人たちの仕事を、探ってみたいと思います。


無傷で動物を捕まえることが重要だった狩猟の仕事

 野生の動物を捕まえて、捕ったものを売ってお金を稼ぐのが狩猟の仕事ですが、この仕事において、何よりも重要なのは「どのように動物を捕まえるか」ということです。

 

捕まえた後、動物をどのように利用するかで、捕獲の方法が微妙に変わります。たとえば、毛皮を目的で狩猟をしたとして、それを、自分の家で使うということであれば、多少傷がついていても問題はないかもしれませんが、毛皮を市場に出して収入を得るとなると話は別。傷がついていると価値が下がってしまいます。そのため、可能な限り、傷をつけないで動物を捕まえる技術が必要となりました。狩猟といえば、多くの人が鉄砲を使った狩りを思い浮かべると思いますが、銃を使うと、毛皮に傷や穴が残ってしまいます。そこで、狩猟の仕事をする人たちは、罠や落とし穴など、銃以外にもさまざまな方法を用いて、動物を捕まえるようになっていきました。

 

 

動物のよく通る道で罠を仕掛ける

 狩猟の仕事をする人たちは、野生動物がよく通り道を狙って、罠を仕掛けたり、追い込んだりしていました。特に、斜面が急だったり、岩場があったりと地形が複雑な場所ほど、通れる道が限られ、動物が進むいわゆる「ケモノ道」がよくわかるので、狩猟者たちは、それらの場所を狙って、エサで動物を誘い込んだり、罠をしかけたのです。また、罠だけでなく、「巻狩り」と呼ばれる動物を追い込む狩猟方法もよく用いられました。あらかじめ、動物の逃げてきやすいケモノ道に射手が待ち構え、動物がいると、複数の人たちが囲み、射手のいる道へ追い込んでいって捕まえたのです。

 

 

地形の変化を頭に入れなくてはいけない狩猟の仕事

 野生の動物を捕獲するためには、狩猟する土地の状況をよく把握することが大切でした。これは、ただ、地形を理解すればいいというものではありません。たとえば、雪がよく降る地域では、雪によって地形そのものが変化します。雪解け水があふれて川を渡ることができなくなったり、雪が積もって橋の代わりになったり、逆に雪が壁になって通れなくなってしまう場所があったりと、狩猟をする人は、雪が降ったときに地形がどうなるかまで頭に入れて、動かなくてはいけませんでした。

 

このようにして、狩猟をおこなう人たちは、知恵を駆使し、さまざまな方法を用いています。

 

 

参考:新谷尚紀編著『読む・知る・愉しむ 民俗学がわかる事典』(日本実業出版社)

 

 

子育て・教育Q&A