朝食抜き、偏食……豊かな食生活を送るために、子どものうちから大切なこととは?

「早寝・早起き・朝ごはん」などの取り組みが広がり、保護者の間で子どもの食育への関心は高まりつつあります。しかし、現在の子どもたちが大人になった時、食育の成果はどの程度生かされているのでしょうか。内閣府がまとめた2015(平成27)年版「食育白書」によると、若者たちの気になる実態が浮かび上がってきました。



同白書は、内閣府が昨年11~12月に、3,000人を対象に実施した調査の結果をまとめています。男性のうち、50代以上世代の8割以上が「ほとんど毎日」朝食を取っているのに対して、20代は58.3%にすぎませんでした。「ほとんど食べない」という者も19.4%、週に数日を加えると20代男性の約4割はきちんと朝食を取っていません。また、20代の女性は67.6%が「ほとんど毎日」朝食を取っているものの、残り3割以上はきちんと朝食を取っていませんでした。朝食を「ほとんど毎日」食べている女性の割合は、30~40代が8割以上、50代以上が9割以上となっています。さらに同白書によると、朝食を毎日食べている子どもの割合は、小学6年生が88.1%、中学3年生が83.9%でした。子どもや中高年世代と比べて、男女共に20代の若者の食生活に、問題があることがわかります。

健全な食生活について「心掛けている」という者の割合は、男性では30~50代が5割以上、60代以上の世代は7割以上に上りますが、20代は44.4%でした。また女性は30代が7割以上、40代以上世代が8割以上なのに対して、20代は63.2%にとどまっています。それでも20代女性は、男性より朝食をきちんと食べたり、健全な食生活を心掛けたりする割合が高いといえますが、やや別の問題を抱えているようです。というのも、やせている女性の割合は20代で21.5%と5人に1人となっており、無理なダイエットをしている20代女性が多いことがうかがえます。

一方、「食品の選択や調理についての知識」があるという20代の男性は、40代以上より少ないものの、30代よりも上回っています。にもかかわらず、栄養バランスのとれた食事を毎日しているという者の割合は、男女共に20代が最低でした。このことから、栄養バランスや食生活の大切さをある程度理解しているにもかかわらず、日常生活の中でそれが実行できていないのが20代の若者の実態といえるでしょう。
このほか、20代の男女はほかの世代と比べて、「一日の食事を一人で食べる」という割合が高いことも注目されます。20代は進学や就職などで家庭を出て、一人暮らしをする機会が増える時期です。同白書は、若者世代を対象にした食育の重要性を指摘していますが、成人してからではいささか遅いという気もしないではありません。たとえば、現在の子どもたちの多くは毎日朝食を取っていますが、この子たちが若者になった時、やはり朝食を毎日きちんと食べる習慣を続けているでしょうか。

朝食を毎日取るのは食育の基本の一つです。しかし、単に食べるだけでなく、食事を通じて食生活の大切さを理解させることが、子どもの将来のための本当の食育につながるのではないでしょうか。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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