学校に届かぬ図書館予算 「言語活動」重視で課題は?

21世紀を生きる子どもたちに求められる「学力」には、単なる知識だけでなく、論理的思考力・判断力・表現力などが求められています。このため学習指導要領では、各教科で発表や討論などの言語活動が重視されています。そこで必要になるのは、やはり読書習慣でしょう。問題解決能力の育成のための「調べ学習」の場としても、学校図書館の役割は大きくなっています。ところが、文部科学省の2014(平成26)年度「学校図書館の現状に関する調査」によると、学校図書館の肝心の中身について、大きな課題があることがわかりました。

学校の図書館や図書室には、子どものために必要な本がきちんとそろえられていなければなりません。文科省は「学校図書館図書標準」として、学校の規模ごとにそろえるべき蔵書数などを定めたうえで、その整備のために予算を出しています。現在は、2012(平成24)年度から始まった「学校図書館図書整備5か年計画」が進行しており、毎年約200億円(合計約1,000億円)が、公立小中学校の蔵書充実のために措置されています。しかし調査によると、2013(平成25)年度末時点で図書標準に見合う蔵書数の整備を達成している公立学校は、小学校が60.2%(11<同23>年度末は56.8%)、中学校が52.3%(同47.5%)というのが実態です。図書標準は1993(平成5)年3月に策定されましたので、それから20年たっているにもかかわらず、いまだ達成できない公立小中学校が少なくありません。
また、問題解決能力などの育成のための「調べ学習」では、百科事典や図鑑などが欠かせません。公立小中学校のほとんどが百科事典などのセットを配置していますが、その刊行年を見ると、「10年以上」前のものが小学校56.3%、中学校64.3%、「5年以上~10年未満」前のものが小学校19.6%、中学校15.6%を占めており、多くの学校で最新版への買い替えが行われていません。

国が毎年200億円もの予算を投入しているのに、学校図書館の蔵書整備が進まないのはなぜでしょうか。それは蔵書整備のための予算が、地方自治体が自由に使える地方交付税の中に計上されているからです。
つまり、市区町村などの財政事情や政策方針などによって、本来は学校図書館に回すべき予算がほかの事業に回されてしまい、学校現場に届かない地方自治体があるのです。実際、調査では全国の市区町村ごとに図書標準達成率を示していますが、新潟市のように達成率100%のところもあれば、いまだ0%というところもあるなど、自治体により大きな違いがあります。

家庭の経済格差が広がるなかで、子どもたちに読書の習慣を身に付けさせる学校図書館の役割は今後、ますます重要になるでしょう。「朝の読書」など、全校一斉読書活動を実施している小学校は96.7%、中学校は88.3%にも上ります。しかし、学校図書館の蔵書などは学校関係者以外の人々の目に触れる機会があまりないため、整備が後回しになっているという事情もあるようです。保護者のかたなどは、住んでいる市区町村の図書標準達成率などを一度確認してみてはいかがでしょうか。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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