既に変わりつつある大学入試 大学の真の目的とは?

既に変わりつつある大学入試 大学の真の目的とは?一発勝負・1点刻みの大学入試を抜本的に変えようという国の検討が、着々と進んでいる。劇的に変わるのは今の中学1年生からだが、先取りしたような取り組みは既にある。文部科学省の「高大接続システム改革会議」の第2回会合では、東北・九州・早稲田・追手門学院の国私立4大学の事例が発表された。これらについて、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に解説してもらった。

 

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東北大学は、九州大学や筑波大学とともに国立大学でいち早く2000(平成12)年度からAO入試を導入していますが、高校の成績や大学入試センター試験で、必要な学力をしっかり問うのが特徴です。九州大学のAO入試の入学生の中で、特色があるのが「21世紀プログラム」入学者です。入学後は学部・学科に関係なくオーダーメードのカリキュラムで広く学べるプログラムのため、それに見合った入学生を選抜しようと、大学が求める学生像に従って書類選考をくぐり抜けた受験生を対象に第2次選抜を行います。2日間にわたって実際の講義を受けてからレポートをまとめさせたり、グループ討論・小論文・面接を課したりする丁寧な選抜で合格者が決まるそうです。

 

早稲田大学では一般入試のほか自己推薦・AO・指定校推薦・センター利用など、さまざまな入試形態がありますが、これらは日本各地や世界からバランスよく多様な学生を入学させ、勉学に励む場にしようという意図があるといいます。AO入試の入学者は、入学後の成績も高いのだそうです。

 

一方、受験という機会を利用して意欲や学力を育てようというのが追手門学院大学の「アサーティブプログラム・アサーティブ入試」です。「プログラム」でガイダンスや個別面談を重ねながら大学で何を学びたいかに気付かせ、そのうえで同大を受験したいという人に「入試」を受けてもらうという「選抜型」入試から「育成型」入試への転換を図っているといいます。このような取り組みが広がっていけば、大学入試の在り方も急速に変わっていくでしょう。それこそが、高校教育・大学教育・入学者選抜を一体で変える「高大接続改革」なのです。

 

出典:大学入試、既に変わりつつある? 「高大接続」先取り -ベネッセ教育情報サイト

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