国語辞典の見出し語と語義はどう作るの?

私たちの学習にかかせないアイテム・国語辞典。あの分厚い辞書はいったいどのようにしてできあがるのでしょうか? 株式会社ベネッセコーポレーション 小中学校事業部 佐々木佳世さんに、辞書を作り上げていく裏側について聞いてみました。


「見出し語選定」から、始まる辞書作り

 辞書を作るとき、まず行われるのは、収録する語を選ぶ「見出し語選定」です。「国語辞典は母語の辞典であるだけに、すべてを網羅するのは難しい。そこで、「使うのは誰か」を考えたうえで「何百万もある言葉の中から、この部分を切りとろう」と見出し語を決めるのが最初の仕事です。たとえば、小学生向けの辞書の場合、辞書を引くのは国語の教科書を見るときが一番多いので、その基本はおさえます。また、教科書や学習参考書や書物、教室にある物など、身近な言葉をできるだけ網羅し、生徒さんたちが辞書を引いたときに「ない」とがっかりすることがないようにとがんばっています。

 

辞書の中での実際の見出し語の並べ方についても、生徒向けの辞書ならば、「この言葉は、高校生が評論文を読解するのに絶対に必要だから、あえて見開き1ページでとろう」など、より使う人のニーズにあった工夫をこらしています。

 

言葉を選定する仕事をしているだけに、辞書の編集者は、日頃から言葉に敏感です。新しい言葉、たとえば最近「盛る」という言葉がよく使われていますが、使われ方が従来と微妙に変わってきていますよね。そういう言葉を、日々キャッチするように努めています。

 

 

見出し語が決まったら、語義作り

 「見出し語」が決まったら、次の仕事は言葉の語義作りです。こちらは、経験豊かな書き手さんに書いてもらったあと、日本語の権威である大学の先生、そして、学生さん向けの辞書の場合、「読む側が理解できるかどうか?」という観点から、辞書の使い手をよく知っている学校の先生方にも見てもらっています。

 

以前、小学生向けの辞書で、「外注する」の語義を「外部に発注すること」と書いたことがありました。ところが、ある先生から「『外注』がわからない子たちに『発注』はわからない。『注文』ではだめなのか」という指摘があり、「注文」と「発注」は、微妙に違うんですが、説明できなくもないということで「注文」にしたことがありました。このように、生徒さんが引いて結局「意味がわからない」とならないよう、おおむね理解できる語義を優先する場合もあります。

 

同じ言葉でも、その辞書を使うのが、小学生なのか、中学生なのかターゲットによってあえて語義を変えることもあり、「使う人がわかるか」ということを常に確認しながら、語義作りが行われていくのです。

 

 

辞書はそれを使う人に向けて、繊細な設定や言葉の選定がおこなわれているんですね。自分の知りたい言葉が辞書に載っているというのは、辞書を作る人の努力の賜物だといえそうです。

 

 

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