所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 家庭学習の国際比較(2)~「パソコンで」は当たり前!?変わりゆく「宿題」

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。



10年以上も前の話ですが、当時小学生だった娘が好きだったアメリカのホームコメディードラマの中で、娘と同世代の子どもが自宅リビングのテーブルでスペリング(単語のつづり方)の宿題プリントをしているシーンがありました。そういえば、アメリカでホームステイした時も、そのお宅の小学4年生の男の子が学校の宿題のプリントに取り組んでいる姿を実際に見ることはありました。でも、それも今は昔、メディアが日進月歩する現在はどうなっているのでしょう。

1年ほど前、夫の仕事の関係でロンドンに住んでいたころ、現地の中学校にお子さまを通わせている日本人のかたと知り合いになりました。そのかたのお話では、イギリスの学校の教室では日本のような黒板ではなく、電子黒板(パソコンのデータを投影したり、その内容を電子黒板上で操作できたりするホワイトボード)が使われていて、宿題も個々の子どもに応じた課題(ドリルなど)を自宅のパソコンなどにダウンロードして取り組んでいる、とのこと。日本でも、電子黒板を持っている学校は増えていますが、全教室でいつでも使える状態になっている学校・地域はまだまだ少ないと思います。ましてや、パソコンでドリル学習が宿題なんて……これはイギリスだけなのでしょうか?

調べてみると、決してイギリスだけではないようです。総務省の「第3回ICTドリームスクール懇談会」資料1(外部のPDFにリンク)の19ページによれば、2012(平成24)年にOECD(経済協力開発機構)が15歳の生徒を対象として行った学習到達度に関する国際的な調査の中で、「学校外でコンピューターを使って月1回以上の頻度で宿題に取組んでいる」という質問項目に「はい」と答えた生徒の割合は、最も高かったオランダが79.6%、参加国平均でも66.5%とかなりの割合です。「月1回以上」なので、イギリスのドリルのような宿題ばかりとは限りませんが、多くの国でパソコンを使った宿題が当たり前になっていることがわかりますよね。では日本はどうかというと……なんと8.1%と参加国中最下位でした。

また、アメリカに住む友人の話では、州・学校にもよるものの、幼稚園の年長(kindergarten)からパソコンやタブレットPCを使った学習や宿題があるそうです。小学校の宿題も、授業での様子やテストから個々の子どもの理解度を把握して、それに応じたレベルの宿題がそれぞれに出され、先に挙げたイギリスの事例のように、それを自宅でパソコン等にダウンロードして取り組むのだそうです。みんなが同じ宿題ではないというと、日本の子どもの場合はかえって気にしてしまいそうですが、学校の授業も含め、個々の理解や能力に応じた課題が出されることがごく普通のアメリカやイギリスでは、それぞれが違っていても気にすることはないそうです。

よいことばかりのようですが、パソコン等を使った宿題に対しては、子どもの視力など健康面での悪影響を心配する保護者の声もあるようです。実際に、私のイギリスの知人は、お子さんの視力が下がった一因に、このことがあると感じているそうです。

今は学習へのパソコン等の活用で世界に大きく水をあけられている日本ですが、今後は学校の中で、また、家庭での宿題にパソコン等を使った学習が多く取り入れられていくのではないかと思います。しかし、あくまでもそれは道具で、道具はうまく使いこなすこと、逆に使われてしまわないよう注意することが大切。子どもの様子を見ながら、学習自体がしっかり前に進むよう見守る必要がありそうですね。

プロフィール

沓澤 糸

大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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