相撲文化は万国共通!世界の相撲をのぞいてみた

2012年4月から中学校の体育で男女ともに武道が必修になったことで身近に感じられるようになった相撲。相撲観戦を国技館やテレビで観る人も増えているでしょう。現在、大相撲の三横綱は全員モンゴルの出身です。「モンゴル相撲」を知っている人は少なくないと思いますが、モンゴル以外にも世界各地に相撲と接点を持った格闘技が存在します。


アジアの相撲

 モンゴル相撲「ボフ」は草原にある競技場で短いパンツやブーツ状の伝統的な格好をまとって行われます。日本の相撲との大きな相違点は、土俵がなく、ひじ・頭・背中・尻のいずれかの部分を地面につけたら負け、というルールでしょう。ナーダムと呼ばれるチンギス=ハンの時代に始まった祭典で、競馬や弓射(きゅうしゃ)などと共に行われ、毎年7月には「国家ナーダム」でのチャンピオンは国民的な英雄となるそうです。

 

また韓国・朝鮮には「シルム」という相撲があります。これは砂地の上でパンツ姿になって対戦するというもの。プロも存在し、こちらは膝よりも上の部分を地面につければ勝ちとなります。

 

 

ヨーロッパの相撲

 トルコには「ヤールギュレシ」という相撲があります。「ヤール」とはオイル、「ギュレシ」とはレスリングを意味し、下半身は黒革のパンツをはき、名前の通り全身にオイルを塗って対戦します。相手の背中を地面につけるか、抱え上げて数歩歩いたほうが勝つというのが伝統的な勝利条件ですが、現在はレスリングや柔道のようにポイント制が採用されることも。毎年、夏には全国大会が開催されています。

 

スイスにはおがくずの上で対戦する「シュヴィンゲン」と呼ばれるスイス相撲があります。「振り回す」という意味のこの格闘技は牧童(ぼくどう)たちの間で行われていたもので相手を投げ伏せて両肩を地面につけたほうが勝者になります。ここでは「シュビンガー・ホーゼ」という麻の半ズボンを履いて戦い、こちらも夏祭りの催しとして開かれることが多いそうです。

 

今回紹介した「ボフ」「シルム」「ヤールギュレシ」「シュヴィンゲン」の共通点は、体をぶつけ合い土俵(競技場)に体のどこかを着けたら負け、ということでしょう。一方で土俵の外に出てしまうと負けというのは、日本のローカルルールであることがわかります。いろいろな文化の違いを知るのも面白いですね。

 

 

参考文献:新田一郎「相撲のひみつ」 朝日出版社

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