修了者の半数以上が法曹になれず 転機を迎えた法科大学院
2004(平成16)年度に創設された、裁判官や弁護士などの法曹を養成する法科大学院。修了者の7~8割は法曹になれるという政府の目標設定から、当初は大きな注目を集めたものの、さまざまな要因から人気が急落。いままさに大きな転機を迎えている。法科大学院の修了者の進路は、実際のところどうなっているのか? 教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。
***
法科大学院創設後、司法試験は原則として法科大学院修了者しか受験できなくなりました。そして、法科大学院修了者は修了後5年間のうち3回しか司法試験を受けられず、大学院修了後5年が経過すると、司法試験の受験資格を失う仕組みになっています。このため、法科大学院修了者の正確な進路を把握するには、5年以上さかのぼって実態を見る必要があります。
文部科学省が2014(平成26)年10月に行った実態調査によれば、大学院修了後5年が経過している直近の年代である2009(平成21)年度修了者の進路は、「司法試験合格」が47.3%、「就職」が8.4%、「前職と同じ又は継続」が2.5%、「進学」が0.3%、「その他」が0.9%、「不明」が40.6%となっています。最新の2013(平成25)年度修了者は、「司法試験合格」が29.6%、「就職」が2.0%、「前職と同じ又は継続」が1.6%、「進学」が0.1%、「司法試験受験勉強中」が42.4%、「その他」が0.6%、「不明」が23.6%という状況です。
全体的に見ると、大学院修了後1年目に司法試験に合格できるのは約3割、修了後満5年までに司法試験に合格できるのは修了者全体の5割に満たず、法科大学院修了者の半数以上は法曹になれないというのが偽らざる実情のようです。
文科省は、法科大学院全体の定員を削減し、2018(平成30)年度ごろまでに司法試験合格率を7割程度に引き上げる目標を掲げており、再編は避けられそうにありません。
出典:法科大学院の修了者、司法試験合格者は5割に満たず -ベネッセ教育情報サイト