スマホ販売店の半数が課題あり フィルタリング推奨せず

いよいよ新学期も間近に迫り、子どものためにスマートフォン(スマホ)を買うことを検討している保護者も少なくないと思います。情報端末機器にあまり詳しくない保護者にとっては、販売店での相談は大きな助けになります。ところが警察庁の調査(外部のPDFにリンク)によると、販売店の半数以上がフィルタリングなどについて、適切な説明をしていないことがわかりました。

現在、未成年者が携帯電話などを使う場合、保護者からの申し出がない限り有害なサイトをブロックするフィルタリング機能を付けることが携帯電話事業者に義務付けられています。しかし、従来の携帯電話と異なりスマホは高性能・多機能でフィルタリングも複雑になるほか、一部のアプリが使えなくなるなどの支障も出るため、フィルタリングをかけないケースが少なくありません。このため警察庁は2014(平成26)年9~10月、全国1,202か所の携帯電話専売店・量販店を対象に「中2女子にスマホを持たせようとしている保護者」という想定で民間調査員による覆面調査を行いました。

総合評価の結果、フィルタリングの説明が不十分など「改善を要する」が29.7%、説明がないなど「不適切」が22.0%で、合計51.7%の販売店に問題がありました。調査内容を見ると、98.0%とほとんどの店がフィルタリングの説明をしているものの、スマホに限ると適切な説明をしているのは52.6%にすぎませんでした。また、保護者がフィルタリング非加入を申し出た場合、「適切な推奨」をしたのは56.2%、「推奨が不十分」だったのは40.8%、「非推奨」は3.0%で、フィルタリングを強くすすめない販売店が少なくないことがうかがえます。

ただし、販売店だけの問題といえない面もあるようです。スマホのフィルタリングを保護者に推奨するうえでの苦労を聞いたところ、「保護者がスマホの仕組みをよく理解していない」23.1%、「フィルタリングを利用しない場合の危険性がうまく伝わらない」20.4%などの回答がありました。フィルタリングをすすめた際の保護者の反応では、「特定のアプリ等が利用できるかを気にしている」28.1%、「子供の意見に左右されている」26.6%、「フィルタリングを利用しない場合の危険性を理解できていない」10.2%などが挙げられています。
さらに保護者がフィルタリングを非加入とした理由は、「子供が利用したいサイトやアプリが利用できない」48.0%、「子供から解除するよう頼まれた」33.6%などでした。販売店にも説明不足という問題がありますが、その背景には保護者がフィルタリングの重要性を理解していなかったり、子どもの言いなりになったりしているという事情も関係しているようです。

子どもが犯罪被害に遭うのを防止するためには、販売店がフィルタリングなどの説明をきちんと行うと同時に、保護者の側も必要な知識を持ち、犯罪被害の危険性を認識する必要がありそうです。情報化社会の中で子どもたちがスマホを適切に使えるようにするのは、大人の責任と言えるでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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